2010年07月07日

白内障入院手術体験記C

 「では始めます」の言葉と共に、いよいよ手術開始。

 真上の照明ははっきり見える。まるで太陽の光が直接眼の中に入ってくるようで、大変眩しい。開始と同時に血圧計が作動。左腕が締め付けられる。眼の中になにか液体が入ったのか、照明がゆらゆらと揺れている。

 メスが入り、グッグッと鈍い痛みが走る。何だか、目ん玉がくり抜かれるような感覚。正確に云うと、水晶体の前側にある前のう(注:漢字変換できない)という薄い組織を丸く切り取る。麻酔が効いているいるせいか、思ったほどの痛みは感じない。続いて、水晶体の核と皮質を超音波で砕き、吸引して取り出す作業に入った。

 この病院では、メスで開けた非常に小さな口から水晶体を摘出する方法とかで、眼に負担の少ない優しい手術が売りらしい。指で軽く眼の周りを押して、破壊された水晶体を押し出すような感覚だった。水晶体が完全に除去されたのか、突然、眼の上の照明が見えなくなり、真っ白な世界になった。曇りガラスで視界を遮断された感じだ。しかし、光を失ったわけではないから、明るさは認識できる。

 T先生、スタッフに「レベル2」とか「レベル4」とか指示している。私にはなんのことやら分らない。そして、「ではレンズを入れます」というと、再び、血圧計が作動した。どうやら、一つの作業が終る度に血圧を測るようだ。体調の変化を監視するのだろう。

 レンズが入り込んできた。これは、直径5〜6mmの眼内レンズだ。普通、レンズには硬い素材のものと、折りたたんで入れる柔らかい素材のものがあるらしいが、ここでは、3mm未満の傷口から折りたたんで挿入する。中に入ると、大きく開くということだ。軽い痛みを感じたが、奥の方に差し込まれるような鈍痛だった。

 すると、再び照明の光が眼に飛び込んできた。どうやら無事にレンズが入ったようだ。

 「はい、上手くいきましたよ」の先生の声で、私も思わず感激して、「有難うございました」と小さな声でお礼を云った。T先生は次の処置をスタッフたちに指示して、「では、お大事に」と言い残して、部屋を出て行った。

 すぐに2人のスタッフが化膿止めの点眼薬を注し、眼帯をつけ始めた。ちょっとくらい何かが当たっても大丈夫なように、プラスチックでできたフタのようなものを眼の上にかぶせ、その上にガーゼを当てて、接着テープでベタベタと貼って固定した。

 全ての作業が終わり、リクライニング・シートから降りた。術後のケアが特に大切だからと、スタッフが「明朝に眼帯を外しますが、それまで充分に気をつけてください」「片目ですから、バランスが悪くなり、転倒しやすくなります」「ベッドから起きだす時、トイレに行く時が特に要注意です」「今日は余り動かず、ゆっくりお休み下さい」などと、忠告してくれた。

 たしかに片目になると距離感が失われ、足元も不安になる。スタッフに支えられながら手術室を出ると、先ほど手術室まで案内してくれた看護婦が車椅子を用意して待っていた。内心、「車椅子なんかに乗らなくても大丈夫だよ」と言いたかったが、スタッフの忠告を思い出し、素直に乗った。

 看護婦に押されて乗る車椅子は、あまり気分の良いものではない(笑)。途中すれ違う人たちの視線が気になった。昔、母を乗せて押した記憶があるが、まさか自分が乗ることになるとは思いもしなかった。

 この間、およそ1時間くらいだったろうか?手術そのものは10〜15分程度だったが、術前の準備に結構時間がかかった。

 部屋に戻ると、一斉にカーテンが開き、「どうでしたか?」と声を掛けてくれた。最初に入室した時と違って、すっかり雰囲気が変わった(笑)。向いのベッドの方も、既に眼帯が外されていたので、「よく見えるようになりましたか?」と聞くと、「いや、それがあまり芳しくないのです」と、落胆した様子。なんでも、物がギザギザに見えるのだとか・・・。「先生は、時間と共に見え方が変わる、と言うのですが」と心配顔。ちなみに、この方を手術した先生と私の先生とは別の医師だ。なにしろ眼だから、同情したくなる。

 私も急に不安になった。「もし、思うような結果が出なかったらどうしよう」
posted by Boo! at 22:15| 東京 晴れ| Comment(6) | 健康・運動 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
いやー、しかし、Booさんの性格が出ている体験記ですね。

私だったらここまではとっても書けませんですよ。

次の体験記を待っています。
Posted by たぬき at 2010年07月08日 22:13
たぬきさん

>Booさんの性格が出ている

 どういう性格?

 例えば、「優しい」「美しい」「潔癖」「親切」「豪放磊落」「繊細」「真面目」のどれかでしょうか?

 まさか、「しつっこい」「いやらしい」「勝手」「助平」「けち」「不真面目」と言うのではないでしょうね?あっ、これらはたぬきさんのことだったか(笑)。

>私だったらここまではとっても書けませんですよ

 たぬきさんなら、きっと次のように書いて終るでしょう。

 「白内障手術をしました。無事成功し、よく見えます。以上、報告終わり」

>次の体験記を待っています

 まだ、あと20回は続くでしょう(笑)。
Posted by Boo! at 2010年07月08日 22:36
>「白内障手術をしました。無事成功し、よく見えます。以上、報告終わり」

そのとおりです。
昔から文才がないものですから、箇条書き人間です。

私の仲間が5日に片目を白内障の手術をしました。
また、88歳の患者さんが近々手術をします。

まあ、この頃は簡単と言っても手術ですから大変なことですよね。

Booさんがよく見えるようになってオフ会でやかましくなっていることを念願しています(あまり言わないでね・・!)。
Posted by たぬき at 2010年07月08日 22:55
たぬきさん

>私の仲間が

 これからそういう仲間が増えることでしょう。5日ということは、もう眼帯を外しましたね。喜んでいましたか?

>88歳の患者さん

 医者の言によれば、100歳でも可能だそうです。私の母は90歳の時に手術しましたからね。
Posted by Boo! at 2010年07月08日 23:48
手術は局麻で医師の会話が聞こえ、手術室の雰囲気を察することができるのですね。

術後に不便を感じることが多いような印象をうけましたが、手術部位の違和感や痛みはありませんでしたか?
Posted by きぃばつ at 2010年07月09日 20:53
きぃばつさん

>手術室の雰囲気

 麻酔といっても眼だけですから、状況はよく伝わってきます。しかし、眼の中を直接触れられるのは気持ちの良いものではありません。
 私の後に手術する予定だった中年の女性は、緊張の余り、気分が悪くなり、中止し延期してました。

 術後の不便といっても、眼帯を外すまでです。異物感、痛みなどが全く無いことは幸いでした。現在もありません。
Posted by Boo! at 2010年07月09日 22:00
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