2010年08月05日

白内障入院手術体験記G

 入院4日目。左眼に続き、いよいよ右眼の手術だ。その後の左眼は全く問題ない。

 手術も二回目となると、慣れたものだ(?)。前回と同様、手術の1時間半前から点眼開始。各点眼液の予定時間を確認しながら5分毎の点眼は面倒ではあるけど、大切だから疎かにはできない。

 前回は早朝から開始したが、今回は午後2時手術予定だから、昼食を終えてからのんびりと点眼を開始した。だが、今回も予定時間が繰り上がり、20分くらい早く看護婦が迎えに来た。まだ片眼だけとはいえ、よく見えるようになったので、彼女と並んで歩いても苦にならない。

 手術室前に着き、順番を待った。間もなく名前を呼ばれ、手術室に入った。

 手順は前回と全く同じだ。眼の洗浄、消毒、そして点眼麻酔と進む。血圧計、点滴、心電図センサーが両腕や胸に取り付けられた。準備が整うと、T先生が入室してきた。「**さん、今日はどちらを手術するんでしたか?」と訊いて来た。「ん?俺の事をボケ老人と思っているのか!」と、一瞬「ムカッ!」

 どこにいてもバカな冗談を言いたくなるので、つい「左眼です!」と言いたくなった。しかし本当に「ボケ老人だ」と思われても困るので、真面目に「右眼です」と答えた(笑)。「はい、そうですね。左眼の具合はどうですか?」「お陰さまで、よく見えます」「では、本日は右眼です。精一杯頑張ってやらせて頂きます」と宣言し、手術開始。

 この病院はやたらと「本人確認」が徹底していて、ちょっとした検査でも「お名前をお願いします」と聞かれることが多い。先ほどの質問もその一貫らしい。まあ、間違いがあってからでは遅いから、病院も慎重なのだろう。

 今回も痛みはほとんど無く、眼内レンズを挿入する時だけ、鈍い痛みのようなものを感じた。なんと表現すればいいのか、瞼の上から眼球を指で押さえつけていくと感じる圧迫感みたいなものだ。

 無事に終了し、眼帯が装着された。「うまく行きました。明日、眼帯を外しましたら、両眼の視力検査をします。正常に視力が回復されれば、予定通り退院できます」

 お礼を言い手術室を出ると、車椅子を用意した看護婦が待機していた。「お疲れ様でした」と言いながら、車を押してくれた。

 病室に戻ると、珍しく全員が出払っていた。それぞれが手術や精密検査を受けているのだろう。妻に電話し、無事終了したことを報告した。「明日の退院には向かえに行こうか?」と云ってくれたが、「いや、もうしっかり見えるはずだから、大丈夫だ」と断った。

 本心は一人で帰りたかったのだ。術前、病院に向かう途中の交通機関の乗り換えに対する不安な気持ち、それがどれだけ払拭されるか実感したかった。とにかく、見えないということはなにもかもが不安になるのだ。特に東京の地下鉄駅は、出口だけでも訳が分らぬほど多い。A3とかB6といわれても、その案内板文字が見えなければ立ち往生してしまう。通い慣れた駅であればまだ良いが、滅多に降りない駅だと、大変だ。今回手術したことでそのような不安が無くなれば、迷うことなく歩けるだろう。彼女と一緒ではそれが実感できない。

 夕食近くなると、全員戻ってきた。「どうでしたか?」と次々に心配してくれた。「順調に行けば、明日退院します」と答えると、「いいなあ、羨ましい」

 そうなのだ。うち二人はもう一ヶ月近くも入院していた。血糖値が上がり、それが正常値で安定するまでは退院の許可が下りないそうだ。

 例のイビキ患者も治療を受けたらしく、片眼に眼帯をしていた。「2,3日で退院できると思っていたら、長引きそうで参りました。来週中には退院したいんですが・・・」と、仕事のことが気にかかる様子だった。

 食事を終え、ぶらぶらとロビーに行くと、この人もついてきた。仕事のこと、家族、老後のことなど、随分いろいろと話してくれた。私は専ら聞き役に徹した。共鳴できる部分が多く、まるで昔からの知人のような気がしてきた。

 窓から見える東京タワーは片眼でも美しいが、両眼で見たらまた更に美しく見えるのだろうか?明日の眼帯外しが楽しみだ。


Tokyo Tower.jpg
(病院から見る東京タワー。携帯で撮ったので写リが悪い)

posted by Boo! at 21:25| 東京 ☀| Comment(7) | 健康・運動 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>「本人確認」が徹底していて--------

非常に重要な基本動作のSOPです。
これを徹底しないために、誤投薬、誤手術、誤治療の医療事故で、病巣部ではないところを摘出されたり、違った強力な薬剤投与で命を落したりした記事が多く認められるからです。
良い病院で手術されたと思います。
Posted by きぃばつ at 2010年08月06日 20:42
きいばつさんが言われるようにT大でも慎重ですね。お名前はといわれてもラリンクスが無いと・・・言えない「あたごおかりな」ですが。
すぐ相手も医者だけに気がつくようですが、そんな会話してます。
Posted by 「あたごおかりな」 at 2010年08月06日 20:55
きぃばつさん

 よく考えれば重要なことですよね。しかし、一々確認されると、鬱陶しいと思ったこともありました。
 最近のニュースでも、誤って正常な臓器を手術摘出した記事がありました。

 できましたら、音楽的才能に優れた脳みそに間違ってでもいいから、取り替えて欲しいなあ(笑)。
Posted by Boo! at 2010年08月06日 22:54
「あたごおかりな」さん


 大病院になると、患者数も大変な数ですから、本人確認は大事でしょうね。

 本人確認といえば、金融機関のチェックはなんとかならんか、と憤慨しております。犯罪が多いからしょうがない面はありますが、いささか行き過ぎの感は否めません。

Posted by Boo! at 2010年08月06日 22:59

>お名前はといわれてもラリンクスが無いと・・・

無いことがIdentificationになるのも「あたごおかりな」さんの特権で、常人には見えない思いや道がみえてくるのではないでしょうか。

Posted by きぃばつ at 2010年08月08日 19:42
きいばつさん  簡単な用語でしたら最近、食道発声法で意思表示出来るようになりましたが。前途多難です。頑張るしかないですね。
Posted by 「あたごおかりな」 at 2010年08月08日 21:36
あたごおかりなさん

>食道発声法

継続する意志と努力、それに奥様のようなよい理解者がいないとなかなかできないことと感服しています。

Posted by きぃばつ at 2010年08月10日 16:09
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