2016年08月17日

後輩の魂胆

 大学の後輩が先日我家に来た。

 以前は毎月1、2回通って来て、私の伴奏(ukl)をしたり、私が彼のボーカル練習に付き合った。リズムがukl一本では余りにも淋しいので、やがてカラオケ伴奏を作った。カラオケに合わせて2人で練習を重ね、CD一枚分程度の曲数になった。といっても、彼の唄いたい曲を中心にしたから、スチール演奏ものは少ない。

 「記念に、CDに残したい」と言い出した。余り気が進まなかったけど、当時入院していた彼の兄さんの希望であり、「励ましたいから」ともいう。しかし、我々の唄や演奏が兄さんの力づけになるとは到底思えない。むしろ、症状を悪化させる可能性大だ(笑)。

 「兄さん以外には聴かせるなよ」と念を押し、半年ほどかけてCD制作に専念した。練習とは違って、「いざ、録音!」となると、意識が空回りしたり、変な所に力が入って思うような出来にならない(悲)。何度も録り直しを繰り返したので、半年もかかってしまったのだ。

 あまり良い出来とはいえず、とても兄さんに聴かせる内容ではなかった。しかしもたもたしていると、兄さんの最後までに完成しないかもしれない。「こんなもんで勘弁して」と言いつつ、「聴かせるのは兄さんだけだぞ」と、再び念を押して渡した。

 それから何か月かして、兄さんは亡くなった。「兄貴は毎日ベッドであのCDを聴いてました。ありがとうございました」と、後輩は感謝してくれた。「あんなものでも喜んでくれたなら、良かった」と、なんだか嬉しかった。

 「もう少し何とかしたかったけど、現在の力量はあの程度だし・・・」というと、「いえ、兄貴は感心してました」と言ってくれた。ま、冗談、お世辞でも、褒めてくれればすぐその気になる私は、「おー、そうか、やはりねえ」と、鼻を高くした(笑)。

 その後しばらくして大学の先輩から電話がきた。滅多に電話など寄こさないから「何事だ?」と警戒した。「お前、最近またスチールギターを始めたのか?」と開口一番に言った。私は空とぼけて、「えー?私がですか?誰かの間違いでは?」と白を切った。

 先輩がリタイヤ後、バンドを組み活動していることは知っていた。何年か前まではよく連絡がきて、「スチールギターやってくれない?」と頼まれた。「いえ、もう何十年も触っていませんから弾けません」「じゃ、ベースは?」「楽器もないし、あんな重い物持ちたくもありません。それに美しい指が台無しになります」と、その都度断った。その内あきらめたらしく(笑)、そのような電話は来なくなった。

 いつまでもとぼけていると「だって、お前と**(後輩の名前)で作ったCDを聴いたぞ」と 言うではないか。

 「あのアホめ!よりによって先輩に聴かせるとは」と腹が立った。あれだけ念を押したのに、いとも簡単に約束を破ってくれた。

 もっとも、世間というのは「ここだけの話だ。他言無用だ」が通じないのが相場だ。それなのに、後輩を信じた私がバカだった(悲)。

 久しぶりに我が家に来た後輩の魂胆が分かった。「もう一枚CDを作りましょうよ」とぬけぬけと言いおった。

 悪い思い出が蘇り、「ふん、知るか!」と、スルーした。
posted by Boo! at 23:17| 東京 ☀| Comment(2) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
今度のオフ会でCDを聴かせてください。
Posted by paul okubo at 2016年08月23日 09:34
paulさん

 冗談じゃありません。それに廃棄処分しました(笑)。
都合の悪いものは、どんどん処分することにしています。つい最近は女房を処分しました(おいおい!)。
Posted by Boo! at 2016年08月23日 22:36
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