2011年06月25日

「SLOW FREIGHT」 RAY BRYANT

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 久しぶりのジャズ・アルバム紹介です。

 まずお断りしておきますが、私が紹介するアルバムは「良い作品」「推薦したい」「大好き」というものだけを取り上げているわけではありません。嫌いなアルバムも紹介していますし、中にはゲテモノに近いものもあります。自分の財布をはたいて買ったのですから、全てが良ければ一番良いのですが、中々そう上手くはいきません。期待を裏切ってくれたアルバムは数多くあるほどです。

 私には気に入らなくても、他の方には受け入れられることもあると思い、敢えて紹介したものもあります。どんなに良い演奏でも、100人が100人気に入るとは限りません。その逆もあるでしょうし・・・。それでいいのだと思ってます。ですから、押し付ける気持ちは毛頭ありません。

 正直、私の好みは偏っているので、ジャズ・アルバムをまんべんなく紹介することは無理です。「それではいけない」と、評論家たちの意見を参考にして買ったものの、納得できないことが多々ありました。以来、彼らの薦めるものはできるだけ買わないようにしているほどです。

 私の記事を読んで、「このアルバムは気に入ってるようだなあ」というのは、おそらく文面から判断できると思います。そのアルバムに関しては、私なりに自信をもって「一度は聴いて欲しい」という気持ちが入っています。


 などと余計なことを書いてますが、今回はR.ブライアントの作品です。


 特別好きなプレーヤーではないけど、決して嫌いではない。大変うまいピアニストだ。

 日本にもよく来て公演していたので、まだ現役バリバリだと思っていた。所がつい先日、「亡くなった(6/2)」という新聞記事を見つけて驚いた。79才だった。「ジャズ・ピアノの巨人」とは言えないが、やはり惜しい人を亡くした。

 この人は、A.テイタムやO.ピーターソン、G.ハリスの系列に入ると思うけど、卓越したテクニックを駆使して弾きまくるプレイには迫力があった。1960年代前後に中々良い作品を残している。中でも「RAY BRYANT TRIO」「CON ALMA」は好きなアルバムだ。

 しかし彼を一躍世界的に有名にしたのは、1972年の「モントルー・ジャズ・フェスティバル」だろう。この時はO.ピーターソンが予定されていたらしいが、なにがあったのか、ブライアントが急遽代役を務めた。これが大成功で、以降はトリオやソロ活動での大活躍につながっていく。ピーターソンの代役では相当に荷が重かったはずだが、むしろそれを大きなチャンスとし、見事にものにしたのだから只者ではない。

 彼の代表作と云えば、やはり、最初に記した「RAY BRYANT TRIO]、それに「モントルー・ジャズ・・・」での演奏かな・・・?

 今回紹介するアルバムはかれの代表作とはいえない。選曲に迷いみたいなものが感じられるからだ。変にポップス系に近づこうとしている演奏があるかと思えば、ファンキー的な演奏もある。元々、ブルースはめちゃくちゃにうまいから、その路線に徹して欲しかった・・・とは私個人の感想。


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(汚れて見にくいので、次にもう一枚を)

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 CD盤。1966年録音。Ray Bryant(P),Richard Davis(B),Freddie Waits(Ds) 他に、Art Farmer(Tp),Snookie Young(Flg)がゲスト参加。

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2011年02月25日

「WEST SIDE STORY」 RICHIE COLE 5

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 久しぶりにジャズ・アルバム紹介です。

 ブログでは「スチールギターだ」「ハワイアンだ」と騒いでいるにもかかわらず、深いところでは、本当に好きな音楽はジャズであることは間違いない。

 一流のジャズ・プレーヤーによる演奏を聴くにつけ、「修練の賜物だなあ」と思い知らされるし、並外れた努力によって、彼らの素質が開花したものだと、納得させられる。

 我々のように(私だけか?)、ちょこっと気が向いた時に練習するだけで、努力の「ど」もないようでは、いくら私に素晴らしい素質があろうと(?)、開花するわけないのだ。ん?最初から素質なんかないのだから、努力しても無駄? 確かに・・・(涙)。

 今回紹介するアルバムはリッチー・コールの作品です。Alto Saxですね。

 一時、好きな時期があって、彼の新作が出る度に買い求めた。しかし10作近く聴いたところで飽きてしまい、以来、パッタリと聴かなくなった。

 大変うまいプレーヤーだと思う。テクニックも申し分ないし、楽器を操ることにかけてはトップ・クラスだ。それなのに、もう一つファンにはなれなかった。

 いくつか思い当たる点はある。まず、音色だ。きらびやかな高音に特徴がある。悪くはないけど、いわゆる「潤い」みたいな魅力に欠ける。

 ビブラートが気になる。昔はビブラートをかけるサックス・プレーヤーが多かった。しかし、コルトレーンの影響が大きくなってからは、ノン・ビブラート奏法が主流になっている。彼の代表作「Ballad」を聴けば、そのストレートな吹き方がよく分かるでしょう。

 私の好みも、やはりノン・ビブラート系だ。だから、R.コールの細かいビブラートはどうしても耳につく。でも彼のスピード感あふれるアドリブは魅力だから、もう少しビブラートを押さえてくれたら、大ファンになっていたかもしれない。

 もう一つ、ピッチが気になる。全体が微妙にシャープしている。特に長く音を伸ばすところでは、他の楽器とのずれが気になってしょうがない。どのアルバムを聴いてもこの傾向があるから、意識してシャープさせているのか、それとも楽器そのものの癖なのか・・・良くわからない。

 かつての名アルト奏者、キャノンボールもシャープ気味だった。でもあまりにも上手かったから、そんなことはどうでもいいと、無視できた(笑)。日本の代表的なプレーヤー、W.S.氏もかなりシャープした音だ。最近はかなり落ち着いてきたが、一時は「音痴」に聴こえるほど他の楽器とずれていた。日本ではファンが多いと聞くが、私には我慢ならなかった。もしファンがおりましたら、ごめんなさい。私個人の印象ですから。

 さて、肝心のアルバムですが、これはミュージカル「West Side Story」で使われた曲を取り上げたものだ。原曲そのものが素晴らしいから、素材としてはうってつけだろう。かつては、O.ピーターソン・トリオも同名タイトルのアルバムを出したことがあった。こちらはR.ブラウンとの呼吸も素晴らしく、今でも私の愛聴盤の一枚だ。だからどうしても比べてしまうが、やはりピーターソンのほうに軍配を上げてしまう。

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 今回紹介するにあたって、久しぶりに聴きなおしてみた。そうしたら、リーダーのリッチーよりも、ピアノのルー・フォレスティエリに魅了されてしまった。「15年も前にこれだけの素晴らしい演奏をしていたとは」と再発見に遅れたことを悔やんだ。でもその後の活躍を耳にしないから、どうしているのだろう。世界には、このようなミュージシャンがごろごろいる、ということかも?

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CD盤。1996年録音。
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2010年10月27日

海賊盤DVD

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 何年か前、香港の友人から頂いたDVDだ。日本に観光にくる直前、「何かお土産を用意したいが、欲しいものがあるか?」と連絡があったので、遠慮なく(笑)「適当にJAZZのCDでも持ってきたら嬉しい」と答えた。そうしたら、CDではなくDVDだった。

 それより以前には、私が香港に遊びに行ったことがあり、期間中はその友人が至れり尽くせりの世話をしてくれた。中国人も個人となると、本当に面倒見がよくて、とことん付き合ってくれる方が多い。それが、国家間となるとなあ・・・。とにかく過剰とも思えるほどで、「親切は嬉しいけど、少しは解放してくれないかな・・・」とぼやきたくなるほどだった。

 ホテルに泊まったが、毎朝8時には電話があり、「今日は**と**を周り、**で食事しよう。夜は・・・」と一方的に予定を組まれてしまう。朝食を終える頃には、ロビーで待ち構えているから、逃げるわけにもいかない。1日や2日くらい、のんびりと好きなように過ごしたいから、「毎日付き合ってもらうのも申し訳ないから、明日はいいですよ」と云おうものなら、物凄く悲しそうな顔をして、「なんでそんなことを云うのか。なにか気に入らぬことでもあるのか?」と責められるので、2度と口にはできない。

 まあお蔭で、普通ではいけないような場所に案内してくれるから、有難かったけど・・・。

 東京の秋葉原のような電気街(市場)があるというので、連れて行ってもらったが、ここは面白かった。とにかくめちゃくちゃに安い。その頃はまだDVD はなかったが、CDとCDビデオを売る露店がずらりと並んでいた。日本で2、3千円はするCDソフトが大体100円程度で売られていた。もちろん、海賊盤だ。正規盤も置いてあったが、そちらは1500円近くするから、ほとんど売れない。

 日本人以上にカラオケが好きなようで、5枚組とか10枚組セットで売られていた。いずれもCDビデオで、映像に歌詞が表示される。たったの数百円で売っていたので、まとめて数セット購入した。面白いのは映画ソフトだ。北京語、広東語(?)、英語の字幕が選べるようになっている。日本語はなかったけど。

 海賊盤だから、いけないとは分かっていても、ただに近い値段だ。成田で差し押さえられるかもしれないリスクを覚悟して、相当数買い込んだ。幸いにも通過できた。

 というわけで、頂いたDVDも海賊盤だった。

 T巻5枚のDVDセットが2巻。合計10枚もの豪華盤だ。1930年代から1960年代までの貴重な映像・演奏が収められている。ところが、我が家のDVDプレーヤーにセットして再生しようとしたら、「読み取り不能」と出て、観ることができなかった。別のプレーヤーでも同様で、どうやら、DVDに問題があるようだった。


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 日本では「NTSC」という映像方式だが、東南アジアなどでは「PAL」方式が多い。どうやら、頂いたDVDは「PAL」方式だった。規格が異なるため、再生不可と分かった。友人はそのような認識もなく、買ってきたのだろう。

 しかし、PCであれば「NTSC」でも「PAL」でも再生できる。仕方なく、PCで視聴した。いずれ普通のプレーヤーでも観れるように、NTSC方式に変換しようと考えているが、なにしろ古い映像だし、音も良くない。このままでもいいかとも思っている。

 手には入らぬ代物だから、薦めるわけにもいかない。

 タイトルが「爵士年代」となっているが、「爵士」はジャズのことらしい。「ジャズ歴史」という意味か?
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2010年09月24日

フリー・ジャズは健在か?

 日本でも、一時期、フリージャズに注目が集まった時代があった。1960年代から70年代にかけてがピークだったように記憶している。

 今も現役で活躍しているピアノの山下洋輔が代表的だけど、その他にも何人かいた。Tpの沖至とか、ミジンコ研究でも有名な坂田明(As)、高柳昌行(Gt)、佐藤允彦(P)、富樫雅彦(Ds)といった名前がすぐ浮かぶ。

 当時、佐藤允彦の「がらん堂」というトリオで打楽器を担当していたH.Tは友人でもあった。変拍子リズムが得意で、5/4とか7/4,、あるいは11/4といった複雑なリズムを実に自然に叩いていた。あまりにも自然なので、うっかりすると普通の4/4拍子と思ってしまう。だがいつの間にかズレを感じて、「あっ、7/4だったか」と気が付くこともあった。

 そんな彼も、若くして亡くなった。まだ40代だったと思う。一度は手術が成功して仕事にも復帰し喜んでいたのだが、1年後くらいに訃報を知らされたときはびっくりした。通夜にも駆けつけたが、多くのミュージシャンが弔問に訪れていた。

 彼はアマチュア無線が趣味だった。当時はまだ携帯電話などなかったから、無線仲間とよく交信していたようだ。見舞いに行った時、私にも「一緒にやろうよ」と強く勧められ、参考書まで買ってくれた。そんな彼の期待に応えないうちに亡くなってしまい、いわば、形見になってしまった。

 私は、フリージャズが特に好き、というわけではない。ただ、若い時分はエネルギーが有り余っていたから、美しい音楽、静かな音楽を聴くだけでは飽き足らなくなっていた。「何か、既成の音楽をぶち壊してくれる」ものに惹かれていた。

 アルバート・アイラー、エリック・ドルフィー、セシル・テイラーといったプレーヤーのアルバムを買い込み、彼らの激しい音に身を委ねた。s.モンクなどもその延長線上にあったかもしれない。

 しかし、「フリー・ジャズとはなんぞや?」と問われても、きちんと理解しているわけでもないから、答えられない。ただただ、音の洪水に身を任せただけだ。それで充分だった。

 一つ確信していることは、フリー・ジャズは耳を凝らして、その演奏を理解しようとか、プレーヤーの意図をくみ取ろうとか、そんな姿勢で聴くようなものではないと考えている。無理やり理屈づける評論家もいたようだけど。

 体全体で受け止め、その音のうねりに没入できるか、だと思う。それによって、精神が解放されたり、気持ちがよくなればもう充分だ。「苦痛だ」「難解だ」「訳わからん」「理解しよう」などと、難しい顔をして聴く音楽ではない。なにを考えて演奏しているかなんて、プレーヤーにしかわからないことだ。本当はなにも考えていないのかもしれないのだ(笑)。

 だがある時からまったく聴かなくなった。それは某プレーヤーが水の入ったバケツに楽器を突っ込みながらぶくぶくと音を出し、滴の垂れた楽器を振り回しながらステージ上を歩き回る姿を見てから急に幻滅し、関心がなくなってしまったのだ。

 よくロックのステージでも、ギターを叩き壊したり、火をつけて燃やしたりするし、ピアニストがピアノの鍵盤を足で蹴飛ばしたり、弦をわざと切ったりすることがあったが、そういうばかばかしいパフォーマンスと一緒だと思った。

 彼らの命でもあるべき楽器を乱暴・粗雑に扱うこと自体、許せなかった。「フリーだから、何をやってもいいことにはならないだろう」と怒りすら覚えた。

 そんなわけで、以来、聴こうともしなくなったが、勿論、真剣にフリージャズを追及しているプレーヤーだっている。少ないだろうけど。

 最近はとんとフリージャズの話題を聞かないけど、まだ健在なのかしら?

 
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2010年08月09日

「Ray Brown Monty Alexander Russell Malone」

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 久しぶりのジャズ・アルバム紹介です。8年前に亡くなったR.Brownのリーダー・アルバムだが、これが彼のラストアルバムになってしまった。録音した時点では元気だったのだから、まさかその4ヵ月後に急逝するとは彼も予測できなかったに違いない。享年75歳だった。まだまだ、活躍して欲しかった。

 学生時代にチョロっとベースに触れたこともあって、この楽器には、ことの外関心が高い。どんな音楽を聴くにせよ、必ず、ベース音に集中しているのが癖になっているほどだ。

 特にジャズでは、ベースは重要な位置を占めている。ベースを軽んずるプレーヤーなど、現在ではいないだろうが、昔はそうでもなかった。つまり、存在感が薄かったように思う。

 バンドのアルバイトで、メンバー一人どうしても足りないと、真っ先に補充するのがベースだった。それも全く弾けない奴をベースにあてがう。どうせベース音なんて客にはたいして聴こえないし、適当にボンボンと弾いている真似でもしていればよい、というひどい扱いだったのだ。当時、「立ちんぼ」と呼んだ(笑)。

 だがいつの頃からか、素晴らしいベース奏者のいるバンドは他のメンバーも素晴らしいということに気がついた。良い演奏するためには、よきベース奏者が必要だということをメンバーが認識している証拠なのだろう。

 数多くのベース・プレーヤーの中でも、ブラウンは突出した存在だった。O.ピーターソン・トリオでの活躍は有名だし、フリーになってからも、実に多くのミュージシャンと共演・録音している。超売れっ子だった。

  彼の魅力は、音色の素晴らしさ、安定したテクニック、心地良い強力なビート感、無駄のない音使い、正確な音程などなど、ため息がでるようだ。

 紹介するアルバムは、もうベテランの域に入ったM.アレキサンダーのピアノとギターのR.マローンとのトリオだ。息がよく合い、ドラムレスであることがかえってブラウンのビートを際立たせている。アレキサンダーのカラッとしたドライブ感溢れるプレイも良いし、マローンも渋い演奏を聴かせる。マローンは、一時、女性歌手のダイアナ・クラールのバックを務めていた。

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 急遽、追悼盤ということで発売され、初回プレスのみ2枚組アルバムとなっている。これはお買い得だった。ボーナス盤は、ブラウンの参加したアルバムから選んだベストCDとなっている。珍しい共演者では、アーマッド・ジャマル(P)、他に、ベニー・グリーン(P),若手のジェフ・キーザー(P)などが面白い。また、ベース・プレーヤー3人によるアルバムからの演奏も必聴だ。ブラウンの他に、ジョン・クレイトン、クリスチャン・マクブライドの3人によるものだ。

 現在では、この2枚組を手に入れる事は難しいかもしれない。多分、一枚のみの販売になっていると思う。ネットで探せばあるかも・・・。買って損はないでしょう。


 CD盤。2002年録音。

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2010年05月22日

「ARIGATO」 ハンク・ジョーンズ・トリオ

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 H.ジョンーズが亡くなったという。好きなピアニストの一人なのでとても悲しい。いつの日か、彼のアルバムを紹介するつもりだったが、急遽取り上げることにした。

 確か、今年も来日公演したはずで、いつまでも元気なプレーヤーだなと感心していた。しかし、年齢を調べて驚いた。1918年生まれというから、91歳だ。生きるだけでも凄いのに、亡くなる直前まで現役を続けていたのだから最高の人生だ。

 キャリアが長いだけでなく、その実績が半端ではない。1947年ごろから人気が高まり、エラ・フィッツジェラルドの専属伴奏、やがてベニー・グッドマン楽団に入る。その後、フリーとして著名なプレーヤーとの数多くの共演・録音で確固たる地位を築き、1973年からは自己のトリオ、「グレイト・ジャズ・トリオ」を結成し、日本でも多くのファンを獲得した。

 私個人的には、トリオ結成前のプレイが好きだ。特に、ポール・チェンバース(b)の名盤「Bass on Top」や、アート・ペッパーの「So in Love」での演奏がいい。

 それにしても、彼の美しいタッチと揺るぎのないテクニックは素晴らしい。また、ハーモニーにも彼独自のものがあるように思う。

 久しぶりにLPコードを取り出し、針を降ろした。日本を愛して止まなかった彼が、日本側からの要請を受けてレコーディングしたものだ。ベテラン・ベーシストであるリチャード・デイビスを迎えている(残念ながら、余り好きではないベースだ)。

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 一つの時代が終った感があるが、彼の作品は永遠に残る。いつまでも、ファンの心に刻まれていくことだろう。

 アルバム・タイトルにちなんで、私も彼に「アリガト」の思いで聴いている。

 LP盤。1976年録音。Hank Jones(P),Richard Davis(B),Ronnie Bedford(Ds)続きを読む
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2010年04月14日

「NEW DIRECTIONS」 NEW DIRECTIONS

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 私が紹介するアルバムは古いものが多い。ジャズ歴が長いし(ただ長いだけ)、年も年だから仕方ない(悲)。が、今回は少し新しいアルバムを紹介する。

 24〜39才までの新人と中堅プレーヤーによって構成されたグループだ。といっても1999年の録音だから、その時は若かった彼らも現在では35〜50才になってしまった。

 ジャズ・レーベルとして「ブルー・ノート」は大変有名だ。素晴らしいプレーヤーを沢山抱え、歴史的にも価値ある名作品を多数残した。それは余りにも多すぎて、とても書き切れない。一つ一つ思い出すのも面倒だから、あえて書かない(笑)。

 「ブルー・ノート」が誕生したのは1939年のことだ。以来60年後の1999年に、創立60周年を記念したアルバム制作が企画された。それが今回紹介するアルバムだ。

 将来のジャズ界を引っ張って行くだろう有望な若手プレーヤーをピックアップし結成されたグループが「NEW DIRECTIONS」と名づけられた。「ブルー・ノート」のこれからの方向性、彼らに対する期待度が伝わってくる。

 60周年を記念するアルバムということで、収録されているいずれもが「ブルー・ノート」ゆかりの曲ばかりだ。「サインドワインダー」「ソング・フォー・マイ・ファザー」「ノー・ルーム・フォー・スクエアーズ」などなど。これらは、昔よく聴いたので懐かしい。当時はこれらの演奏をファンキー・ジャズと呼んでいた。ジャズとロックが融合したようなサウンドで新鮮だった。

 その先鞭をつけたのが、ブレイキーの「モーニン」だったと思う。それまでジャズにはほとんど関心がなかったし、難しいものだと思い込んでいた。それが分りやすいフレーズで、妙に心に入り込んできた。ジャズに見向きもしなかったような人々の心まで掴んだから、大変なヒットになった。数少ないジャズ演奏の大ヒット曲だ。自転車に乗ったソバ屋の出前持ちが「モーニン」を口ずさみながら運んでいた、なんていう話は有名だ。そういえば、ブレイキーも「ブルー・ノート」専属だった。

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 昔のオリジナル演奏に比べて、彼ら若手による演奏はどうなのだろう?

 確かに、一人一人の演奏技術は高い。洗練もされている。音も綺麗だ。でも、もう一つ伝わってくるものがない。ファンキージャズの大きな要素である「熱」みたいなものが欠けているように思えるのだけど・・・。かつての名演奏を知る私には物足りない。私の勝手な意見です。全体がスマートにまとまりすぎているというのだろうか。

 ジャズとは難しいものだ。単に上手いだけでは駄目だし、ファンをひきつけるものがないと聴いてくれない。荒々しくても、なにか訴えるものがあると評価される。これはジャズに限らないけど・・・。

 そんな中でも、ピアノのJason Moran、バイブのStefon Harrisがいい。

 CD盤。1999年録音。Greg Osby(As),Mark Shim(Ts),Stefon Harris(Vib),Jason Moran(P),Tarus Mateen(B),Nasheet Watts(Ds)
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2010年03月21日

「五つの銅貨」 ダニー・ケイ、ルイ・アームストロング

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 いつもはジャズ・アルバムを紹介しているが、今回はジャズを素材にした心暖まる映画を取り上げたい。今や、私のお宝ビデオだ。

 1959年制作だから、51年も前の作品になる。私がこの映画を最初に観たのは大学生の時だった。ジャズに関心が高くなりつつあった頃だ。なんだか知らないけど、涙が止まらなかったことだけは憶えている。その後、この映画のことはすっかり忘れていたが、20何年か前にテレビで放映され、再び観るチャンスを得た。

 学生時代に観た記憶が蘇り、最初に受けた感動と全く変わらなかった。観終わった時は涙ボロボロだった。買ったばかりのビデオデッキに録画し、何回も繰り返し再生したのだが、CMが入るのが残念だった。

 それからしばらくして(20年位前か)、CDショップの棚にこの作品が置かれているのを見つけ、即、購入した。録画したものは日本語吹き替えだったので、やはり字幕スーパーによるオリジナル音声で観たかったのだ。

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 ストーリーは単純といえるかもしれない。でもそれが却って、観る者の心にストレートに入り込む。一人のミュージシャンの栄光と挫折、そして奇跡的なカムバック。小児マヒの愛娘に対する絶望感と父としての愛情、といった喜怒哀楽の筋書きが展開されて行く。

 実在だったミュージシャン(レッド・ニコルズ)の物語だから、ジャズの歌や演奏がふんだんに盛り込まれている。なかでも、L.アームストロングの存在感はさすがだ。

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 ビデオ作品を手に入れてから、一体、何回観ただろう。恥かしながら、観るたびに涙が出る。特にラスト・シーンは感動的だ。
 
 ビデオだと、いつ再生が駄目になるか心配だ。その為、数年前から、DVD盤を探しているのだが、今もって見つからない。と書きながら、念のため、つい最近ネット検索した。なんと「見つけた!」と、喜んだのも束の間、ぬか喜びに終った。それは、アメリカからの輸入盤だった。ということは、日本語字幕スーパーではないだろうし、勿論、吹き替えでもないに違いない。価格も5000円近くもしていた。よく500円程度で、古い名作映画のDVDが売られているが、この作品も安く売ってくれないだろうか?すぐに買うのだけどなあ・・・。しかたない、なるべく早くデジタル化し、DVDに焼こう。

 音楽、とりわけジャズが好きな方には是非観ていただきたい。ですから、中身をあまり書きませんでした。


 1959年作品。VHSビデオ。ダニー・ケイ、ルイ・アームストロング、ボブ・クロスビーetc.

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2010年02月15日

「JAZZ SAHIB」 SAHIB SHIHAB

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 サヒブ・シハブと読む。面白い名前だけど、米国人だ。日本ではごく一部のマニアを除いて、余り知られてないかもしれない。特に若い方にはほとんど馴染みがないだろう。しかし、実は大変な実力者であり、そのキャリアは素晴らしいものだ。

 1925年生まれだが、若干13歳にしてプロ入りしたというから、恐ろしく早熟だ。往年のフレッチャー・ヘンダーソン、ロイ・エルドリッジetcといった有名楽団で活躍するようになるが、やがて50年代に入ると、セロニアス・モンク、タッド・ダメロン、アート・ブレイキー、或いはディジー・ガレスピーなどと共演する。クィンシー・ジョーンズとヨーロッパを楽旅したことがその後のヨーロッパ定住につながり、1960年から74年までの長きに亘って、活動した。

 私が注目したのは、やはり70年前後のヨーロッパ時代の作品からだ。彼のプレイというよりも、オリジナル性豊かな所だった。ユニークなメロディ・ラインや和音の流れに惹かれた。

 当時、NHKのFM放送で毎月2回(1回だったか?)、2時間という長さのジャズ番組があった。夕方4時から6時までの時間帯だったと記憶している。大変良質な番組で、現在のようにやかましく余計なおしゃべりもなく、純粋に音楽だけを流していた。その日特集するアーチスト名、曲名、アルバム名だけを紹介するだけだった。

 しかも、一枚のLP盤のA面B面全曲を通して流してくれたから、まだ高価だったレコードを買わずとも、この番組から収録した音源は相当数のLPに匹適した。著作権のうるさい現在では考えられないような放送だった。

 時間帯が夕方だったので、仕事に出かける私はいつもタイマー・セットして、オープン・デッキに留守録音した。そして休みの日には曲だけを抜き出して、せっせとカセット・テープにダビングした。その数、何百本にもなった。もし、この番組に出会わなかったら、私のジャズを聴く範囲は大変狭いものになっていたと思う。実に良い教科書にもなったのだ。

 S.シハブというプレーヤーも、この番組を通じて知った。ユニークなメロディはどこか哀愁があり、かつてどこかで聴いた事があるような不思議な印象を持った。

 司会者が「ルーデ・ラ・ハープ」と曲名を発音した。仏語らしいので、つづりが正確ではないかもしれないが、「Rue De la Harpe」か?その為、この曲の入ったアルバムが欲しくなり、一時、あちこちのレコード屋を回って探したが、どこにも置いてなかった。多分、日本ではまだ発売されてなかったのかもしれない。輸入盤を手に入れるしかなかったのだろう。

 その後、「サヴォイ・コレクション」(注:かつての黄金レーベル)として、1期20枚づつ何期かに分けて発売され、その何回目かのリストにS.シハブの名前を見つけた。即、申し込み購入した。残念ながら、「ルー・デ・ラ・・・」は収録されてなかった。

 今回紹介するアルバムは、その時に手に入れたものだ。ここでも彼のユニークさは変わることがなく、気に入った演奏のコード進行を取ったりした。

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 正直いうと、バリトン・サックスの音は余り好きではない。ジェリー・マリガンという名手もいたが、今ひとつファンにはなれなかった。

 あくまでも、シハブのオリジナリティに注目したのだ。

 それにしても、共演陣の豪華さはどうだろう!これだけでも、いかに彼の評価が高かったか、分ろうというもの。

 LP盤。1957年録音。SAHIB SHIHAB(BS),PHIL WOODS(AS),BENNY GOLSON(TS),HANK JONES(P),PAUL CHAMBERS(B),ART TAYLOR(DS),BILL EVANS(P),OSCAR PETTIFORD(B)
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2010年01月21日

「ROSEMARY CLOONEY SINGS THE MUSIC OF COLE PORTER」 ROSEMARY CLOONEY

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 うっかりして、ジャズ・アルバム紹介をサボってしまった。

 多分、平均よりも多く所有していると思うから、いくらでも紹介できるアルバムがあるはずだが、いざ適当なものを探そうとすると、迷うものだ。紹介するからには、もう一度、音を確認しておこうと聴いてみる。お陰で、昔聴いただけで、長いこと聴くこともなかったアルバムが陽の目をみることもある。

 今回紹介するアルバムもまさにその通りで、しばらく聴いてなかった。

 R.クルーニーというと、古い方は(笑)、良くご存知かと思う。昔、「家へおいでよ(Com'on-a My House)」で大ヒットを飛ばした女性歌手だ。といっても、1951年のヒット作だから、その頃の私(ご幼少)はまだなにも知らない。大分後の中学か高校生の頃に聴いて、「面白い曲だなあ」という印象を持った程度だ。他にも、「日曜はダメよ」とか「Mambo Italiano」などがヒットした。

 その為、しばらくの間、私はてっきりポピュラー歌手だと思っていた。しかし、Concordレーベルから出た一連のクルーニー作品を聴いて、すっかり認識を改めた。もっとも、アメリカのポピュラー歌手はおおむね、ジャズを歌わせても非常に上手い。コニー・フランシス、パティ・ペイジ、或いは、ジョー・スタッフォード、それぞれ個性ある歌い方で味わいがある。

 クルーニーはしばらくの間、活動休止状態だったらしいが、70年代に入って、なんとあのビング・クロスビーが再起のキッカケを与えたらしい。それが、その後のConcordでの活躍につながる。

 彼女の歌い方は、エラやサラといったいわゆるゴリゴリのジャズ歌手のように崩したり、スキャットを入れたりはしない。メロディを正確に、発音にも気を使い、丁寧に唄う。それでは物足りない、という方もいるかもしれないが、私は好きだ。なにより、安心して聴いていられる。

 伴奏陣はConncord専属のミュージシャンだが、いづれも腕達者揃いだ。中でも、C.コリンズのギター、J.ハナのピアノ、録音当時はまだ若かったS.ハミルトンのテナーは素晴らしい。全体に渋い演奏だ。

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 CD盤。1982年録音。
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2009年12月22日

Bill Evans with Philly Joe Jones

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 これはちょっと貴重なアルバムだと思う。エバンスの名声を高めた黄金トリオ結成直前の作品だ。

 黄金トリオを結成する前、彼はマイルス・グループに所属していた。そのグループでの仲間であったベースのP.チェンバース、ドラムスのP.ジョーンズと共に吹き込んだ演奏がこのアルバムになる。1959年に録音されたのだが、どういうわけか、アルバムとして陽の目を見るのは10年後の1969年になってからなのだ。

 元々は、リバーサイド・レーベルに吹き込まれたが、1969年に倒産してしまう。録音当時のプロデューサーが、リバーサイド時代のスタープレーヤーたちの演奏を再発売するに当たって、やっとこの音源がアルバムになったらしい。発売されたからいいようなものの、永遠に埋もれてしまったかもしれないと思うと、かえってリバーサイドが倒産して良かったのかも・・・。

 エバンス・トリオというと、やはり、S.ラファロ(B)、P.モチアン(Ds)によるトリオが有名だし、余りにも素晴らしかった。3人のモダンな感覚から生まれる演奏は本当に美しく、緊張感もあった。

 それに比べてこのアルバムにおけるメンバーは、上記のメンバーとは水と油の違いがある。エバンスとは合わないのではないかと、思ってしまうほどだ。だが聴いてみると、これはこれで中々良い。

 今回、改めてじっくりと聴いてみた。トリオ結成前とはいえ、すでにエバンスらしい演奏が表れている。しかし所々で、「おや?」と感じる部分があった。それは明らかにB.パウエルの影響を感じたこと、バップ的なフレーズが垣間見えたことであった。ちょっと意外に思ったので調べてみた。やはり、最初はパウエルの研究をしたようだ。チェンバースやジョーンズを従えたことで、触発されたのかもしれない(私の勝手な推測ですが)。

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 全7曲のうち、1曲のみメンバーが異なるし、録音時期も違う。ベースがR.カーターに代わり、ギターのJ.ホール、T.サックスのZ.シムズが加わるクインテットだ。

 ここでは、J.ホールのギターが素晴らしい。そういえば、この同じ頃、エバンスとデュエットで吹き込んだ「アンダーカレント」という名アルバムがあった。こちらは凄みを感じさせる演奏だった。

 また、テナーのシムズは、たぬきさんの嫌いなプレーヤーらしいが、ここでの彼は、やや押さえ気味にしたプレイに徹しており、私は嫌いではない。特別に好きでもないけど・・・。

 CD盤。
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2009年11月12日

「YESTERDAYS」 Junior Mance Trio +1

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 J.マンスは好きなピアニストの一人だ。渋くて、暖かくて、ブルージーでシンプルなプレイは、好きな人にはたまらないだろう。ちなみに、日頃周囲から「まあ、渋いお方!」と評判の私とは実に波長が合う・・・て、何を云ってるんでしょ(笑)!

 マンスの代表作というと、初リーダー作の「JUNIOR」、「THE SOULFUL PIANO OF JUNIOR MANCE」が何と言っても挙げられる。どちらも素晴らしい作品で、まずはこのニ作品から聴いて欲しい。

 今回紹介するアルバムもなかなか良い。2000年の録音だから、マンス72歳の頃か・・・。ピアノ・トリオにプラス・ワンとして、テナーのエリック・アレキサンダーが加わっている。若手と思っていたのに、いつの間にか、中堅プレーヤーになってしまった。

 アレキサンダーは以前にも紹介したと記憶している。彼が日本でメジャー・デビューするずっと前から注目していた。「将来性豊かな大器」として、密かに応援していたのだ。「日本の第一号ファンは私だ」と、勝手に思い込んでもいる(笑)。

 期待通り、その後の彼の活躍は素晴らしく、日本にも多くのファンを獲得するまでになった。このアルバムでのプレイも素晴らしく、マンスのピアノと良くマッチしている。初期の頃の豪快さはそのままだが、荒削りな所が消え、すっかり落ち着いたプレイになっている。

 とにかく音色が魅力的だ。伸びがあり、細かいフレーズも小気味が良い。楽器そのものを十二分に鳴らしきっている。テナーらしい音だ。

 マンスのピアノも実に「粋」だ。大人のピアノという印象。元々、ブルースを得意としていたから、やはり、ブルースを弾かせたら天下一品だ。だが、泥臭さが全くない。洗練されている。やたらに飾り立てるような音数もすくないし、無駄がない。

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 今年で81歳になると思うが、まだ元気なのだろうか?

 CD盤。2000年12月録音。Junior Mance(P),Chip Jackson(B),Jackie Williams(Ds),Eric Alexander(Ts)
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2009年10月18日

「THE POLL WINNERS RIDE AGAIN!」

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 かつて、「ダウン・ビート」「メトロノーム」「プレイ・ボーイ」3誌による各楽器部門ごとのベスト・プレーヤーを選ぶ人気投票があった。この投票で一位に選ばれたプレーヤーは、大変名誉なことであったと思う。

 当時はジャズが盛んで、素晴らしいプレーヤーが目白押しだったろうから、その中から選ばれることは至難だったに違いない。だがその厳しい条件にもかかわらず、毎年のように一位に選ばれたプレーヤーがいた。1955年から1960年にかけて連続トップに選ばれるという偉業を成し遂げたのだ。

 ギターのバーニー・ケッセル、ベースのレイ・ブラウン、そしてドラムスのシェリー・マンだ。

 彼らは1955年に一位獲得した翌年からは、ほぼ毎年のようにスタジオに集まり、記念アルバムを作った。最初のアルバムは「THE POLL WINNERS」(1956年)だったが、これは素晴らしい作品だった。今回紹介するアルバムは第二作目にあたり、1958年に録音されたものだ。因みに、三作目が「POLL WINNERS THREE」(1959年)、最後になる4作目が「EXPLORING THE SCENE!」(1960年)と続いた。

 紹介するアルバムは一作目に負けない素晴らしい内容だ。私個人は最初の2作品がお気に入りで、あとの2作品はそれほどでもない。

 それにしても、彼ら3人が6年間にも亘って一位を獲得し続けたことも凄いが、よくも3人が揃ってアルバムを作り続けたものだ。普通は、色々なしきたりや思惑があって、ましてや、専属レーベルが違ったりすると難しいはずだが、なんと彼ら3人は「Contemporary」レーベルの専属者同士だったのだ。だから可能だったのかと、後になって納得した。このレーベルには、他にソニー・ロリンズ、ハンプトン・ホース、アート・ペッパーといった超人気プレーヤーも所属していた。


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 まだまだ油が乗っていたころの演奏だから、それぞれが溌剌としており、今も色褪せない出来になっている。特に「Volare」や「Spring is Here」におけるケッセルのコード・ワークは素晴らしい。50年以上も前の演奏にもかかわらず、すでに完成されているかのような演奏だ。その後の50年間で、一体、ジャズは進歩したのだろうか?

 時は流れ、3人全員が鬼籍の人となってしまった。

 ギターのB.ケッセルはまるでアドリブの見本みたいな演奏をする。だから、昔、ジャズ・ギターの勉強したかったら、ケッセルを見本に練習しろと言われたものだ。フレージング、ハーモニー、リズムすべてが基本に忠実だからだろう。その為、私はてっきり、クラシックの勉強をしたあと、ジャズの研究をしたのだろうと思っていた。だが、彼は全くの独学でマスターしたらしい。明らかに、チャーリー・クリスチャンの影響を感じるが、やはり、才能に溢れた者は、いかなる状況でもそれを発揮できるのだなあ。

 CD盤。1958年録音。Barney Kessel(Gt),Ray Brown(B),Shelly Manne(Ds)
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2009年09月25日

「Pal Joey」 Kenny Drew Trio

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 アメリカと言えば、ミュージカルの盛んな国だ。これまでにも沢山の素晴らしいミュージカルを生んできた。ポギーとベス、王様と私、マイ・フェア・レディ、42ndストリート、キャッツ、コーラスライン等々、挙げれば枚挙にいとまがない。

 この中で、キャッツとコーラスラインは、日本と米国双方の劇場で観劇できたことは幸せだ。特に、キャッツは印象深い思い出がある。

 20年近くも前に、約1ヶ月間かけてアメリカ大陸東西を横断旅行したが、その時にニューヨークで観たのだ。1週間近くのNY滞在中、夜はジャズクラブ巡りに夢中になっていたが、一度くらいはミュージカルも観ておこうと、当時、大人気だったキャッツに注目した。泊まったホテルがブロードウェイ近くだったため、街のいたるところで、キャッツの看板が目に入ったこともある。

 「前売り券を買うと安いよ」と、ホテルの従業員に教えられ、9.11テロで爆破された世界貿易センタービル内にあったチケット売り場で買い求めた。

 キャッツはすでに日本公演を観ていたのだが、アメリカで観た舞台は素晴らしく、日本とは比較にならなかった。日本公演も、アメリカの舞台に出演していたメンバーがピックアップされて来たのだが、劇場の違い、観客との一体感、音響、全体の雰囲気などがまるで異なり、やはり、本場で観るべきものだと実感した。日本の劇場がミュージカルに適した造りになっていないことは、致命的だと思う。

 唯一、残念だったことは、私の乏しい英語力ではセリフを充分に理解できなかったことだ(悲)。子供連れの家族が多かったが、時々沸き起こる子供たちの笑い声が耳に入ると、「何が可笑しかったんだ?」と、悔しい思いをした。

 舞台が終ると、出演者全員が並び、観客に向かって手招きした。「舞台に上がれ!」というのだ。勿論、子供たちは我先にと駆け上がっていたが、私もノコノコと舞台に上がった。妻には冷やかされたが・・・。こういう滅多にないチャンスは逃さない(笑)。

 私は主演していた何とか言う(もう忘れた)女優に近づき、「素晴らしかったです」と拙い英語で気持ちを伝えると、しっかり握手しながら、頬に軽くキッスをしてくれた。もう一生顔を洗うまいと感激したのに、ホテルに戻るとすっかり忘れてしまい、シャワーで洗い流してしまった(笑)。日本ではこのようなサービスはしてくれなかった。

 さて肝心の紹介CDだが、ロジャース&ハートによる「Pal Joey」というミュージカルを題材にしたアルバムだ。当時まだ若く、売出し中のK.ドリューによる演奏だ。「Pal Joey」というミュージカルは知らなくても、この中で使われた曲の多くがジャズ・ミュージシャンによって演奏されている。それほど素晴らしい曲ばかりなのだ。

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 例えば、「Bewitched」「I could write a book]「My funny valentine」「The lady is a tramp」などは特に有名だし、皆さんもご存知のことと思う。

 K.ドリューの溌剌とした若い演奏は聴きごたえがある。所々で、B.パウエルの影響を感じさせられる。

CD盤。1957録音。Kenny Drew(P),Wilbur Ware(B),Philly Joe Jones(Ds)
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2009年09月05日

「CHRIS CONNOR Sings Lullabys of Birdland」 Chris Connor

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 C.コナーが先月末に亡くなったらしい(イィヴィさんのブログに先を越されてしまった(笑))。

 かつて、夢中になって聴いたプレーヤーや歌手が段々いなくなるのは、実に淋しい。大学生の時に初めて聴いた彼女の唄声は誠に魅力的だった。ハスキーで、小粋で、リズム感の優れた歌は素晴らしかった。

 大学の軽音楽サークルに入ったことで、ハワイアン音楽に触れるようになったが、サークルにはハワイアン以外にも、カントリーやジャズのグループも一緒に所属していた。その為、教室を隣り合って、お互いに同じ時間帯に練習することも珍しくなかった。

 時々、隣から漏れてくるジャズの連中の練習にも関心が向き、良い演奏だと、思わず自分の練習を中断して、耳を傾けた。

 ハワイアン音楽も無知だったが、ジャズに対してはもっと無知。何も知らなかった。だが時々自分の感性(?)に合うようなメロディが耳に入ってくると、「ジャズもいいなあ」と、段々好きになっていった。

 ジャズの連中がよく練習していた曲は、例えば、「枯葉」であり、「Softly as in a morning sunrise」「You'd be so nice・・・」、或いは、「バードランドの子守唄」といった、いわゆるジャズの定番だった。他にも、ブルースを良く練習していた。

 これらの曲は、今でこそ常識として知っているけど、当時は、「枯葉」以外は全くと言っていいほど知らなかった。それも「枯葉」と言ったって、イブ・モンタンやカーメン・キャバレロの唄や演奏で知っていただけのことだ(笑)。だから、気に入った曲があると、彼らに曲名を教えてもらったものだ。

 ある時、とても惹かれる曲があった。まだ、コード進行のことなど、ロクに理解していなかった私でも、洒落た和音の流れに聴こえたからだ。練習中の彼らに曲名を確かめると、「Lullaby of Birdland」と教えてくれた。

 すっかりこの曲が気に入り、手元にも欲しくなった。その結果、手に入れたのが、このアルバムだ。当時は勿論、アナログLPレコードで、擦り切れるほど良く聴いた。それも、「Lullaby・・・」ばかりを集中して聴いた。その後、引越しを何度か繰り返したこともあって、いつの間にか、行方不明になってしまった。だが、20年以上も前に、CD盤として再発売されたのを見つけ、即、購入した。

 彼女が亡くなった事を知り、久しぶりに棚から探し出し、聴いた。そして、彼女の素晴らしさを再確認した。最初は昔の如く「Lullaby・・・」だけを聴くつもりだった。だが、若い時分には感じ取れなかった別の魅力を発見し、結局、全曲聴き通してしまった。「Lullaby・・・」が素晴らしいのは当然だが、それに負けず劣らず素晴らしいと感じたのは、「Spring is Here」「A Cottage for Sale」「Stella by Starlight」「Goodbye」などだ。バラードを歌わせたら実に上手い。

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 面白いことに彼女は学生時代、クラリネットを8年ほど吹いていたらしい。この年代で、しかも女性だから、かなり珍しい。だから、歌い方がホーン・ライクなのかもしれない。

 久しぶりに聴いた彼女のハスキー・ボイスは、若々しくチャーミングだった。

 CD盤。1953-1954年録音。
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2009年08月11日

「EXPLORATIONS」 Bill Evans Trio

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 エバンスは大変好きなプレーヤーの一人だ。アルバムも相当数所有しているが、彼には駄作がないと思われるほど、どれも質が高い。これまでにも何枚か彼のアルバムを紹介したが、これは特に好きな作品だ。

 かなり前のことになるが(35,6年前だったか・・)、公演で来日したことがあった。恐らく初来日だったはずだ。大ファンでもあったので、期待に胸を膨らませながら、会場に向かった。

 新宿の厚生年金ホールだったと記憶している。わが美人妻と共に出かけたが、どういう訳か、私の行く演奏会には必ずついてくる。まるで「金魚のフン」だ。どうも、自分も一緒に行かなければ損だ、と考えているフシがあるなあ(笑)。今でもそうだけど・・・。

 早く着いたので、会館内にある喫茶室でコーヒーを飲み、時間をつぶした。すると、3人の外国人が我々の隣のテーブルにやって来た。彼らは和気あいあいと、時には、笑い声を立てながら話し始めた。しかし、私の乏しい英語力ではなにを話しているのか、分らない(悲)。

 気になって、横をチラチラと見やると、なんと、エバンス様ではないか!太い黒縁メガネをかけ、顔中に汚らしい、じゃない、立派なひげを生やしていた。一緒にいた他の男性も確認すると、おーっ、ゴメス様に間違いない。ゴメスも好きなベース・プレーヤーだから、顔はよく知っている。もう一人は、ドラムということになるが、これが思い出せない。ゴメスと一緒ということは、恐らく、マーティン・モレロだとは思うが、自信がない。調べれば分ることだけど、面倒くさいから、記憶喪失ということにしておきます(笑)。

 こんなチャンスは滅多にあることではないから、何がなんでもサインを貰うべきだったのに、世界の超一流プレーヤーとなると、さすがの私も怖気づいてしまって言い出せなかったことは、今でも悔やまれる。今にして思えば、図々しい妻が横にいたのだから、彼女をけしかければ良かった(笑)。

 時間が迫り、会場に入ると驚いた。勿論、大ホールだったが、何と半分程度しか客席が埋まってなかったのだ。ガラガラの印象だった。なんだか、エバンスが気の毒になった。

 当時はジャズの人気といっても、まだまだ一部のファンのものであり、エバンスが来日してもこんな有様だった。

 ステージに現れた3人は、まさしくさきほど喫茶室で一緒だったメンバーだった。静まり返ったホールに響き渡る彼らのサウンドが素晴らしかったことは、言うまでもない。

 所で、肝心のこのアルバムのメンバーは来日メンバーとは異なる。トリオの黄金時代を築いた、ベースのスコット・ラファロ、ドラムのポール・モチアンの史上最強ともいえるメンバーだ。

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 やはり、ベースのラファロは素晴らしい。ゴメスも驚異的に上手い人だが、どうもエバンスの肌合いとは合わないような気がするのは、私だけだろうか?この辺は、好みの分れるところであろう。

 もしかするとこのアルバムは、エバンス作品の中でも、一番好きかもしれない。いつまでも、愛聴盤の一枚として聴き続けて行きたい。

 アナログLPとCD盤、両方を所持しているが、やはり、アナログ盤に軍配が上がる。

 LP盤。1961年録音。Bill Evans(P),Scott La Faro(B),Paul Motian(Ds)
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2009年07月16日

「Sleeping Gypsy」 Michael Franks

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 かなり昔のことになるが(20年以上前か)、M.フランクスの唄がFMラジオから流れてきた時、なんとも云えぬ気だるい声と甘い声に魅きこまれ、しばらくの間、ファンになった。

 一旦好きになると、その人の演奏や唄を徹底的に聴きまくるクセが私にはある。それまでに出ていたアルバム、その後に発売されたアルバムを買い集めた。だが残念なことに、飽きるのも早かった(笑)。

 今回紹介するアルバムは最初に買い求めたものだが、これが一番出来が良く、その他のものは、今ひとつ、食い足りない。

 M.フランクスについては、私自身、良く知らない所がある。元々は、ギターを弾きながら自作した歌を唄う、いわゆるシンガー・ソング・ライターだったらしい。その為かどうか、コード進行のパターンにバラエティさが欠けるように感じる。つまり、ワンー・パターンっぽくて、何曲か聴くと、飽きてしまうのだ。ジャズで良く使われるトゥー・ファイブ進行がやたらに多いので、本人、この進行がよほどお気に入りなのかもしれない。私の主観ですので、見当違いかもしれませんが・・・。

 全作品が彼のオリジナルだ。中でも、「The Lady Wants To Know」や「Antonio's Song」はかなりヒットしたし、他の歌手やプレーヤーによってカバーもされている。特に、「Antonio・・・」は今や、ボサノバの名曲にもなりつつある。この曲は私も大好きだ。

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 共演しているミュージシャンたちが素晴らしい。Joe Sample(P),Wilton Felder(B),Larry Carlton(Gt),David Sanborn(As),Michael Brecker(Ts)etc.などだが、これらの名前を良く見ると、「ザ・クルセイダーズ」のメンバーが多い。言い換えると、フランクスがクルセイダーズにゲスト参加しているような印象さえ受ける。

 だから単調なコード進行でも彼らの手にかかれば、素晴らしい演奏になってしまうのだ。「Antonio・・・」でのサンプルのピアノ・ソロやサンボーンのアルト・ソロは名演だと思うし、「Lady wants・・・」でのブレッカーも見事だ(残念ながら亡くなってしまったなあ)。

 このアルバムは素晴らしいと思うが、その他の作品には聴くべきものが少ないのは残念なことだ。

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 CD盤。1976年録音。
posted by Boo! at 21:26| 東京 ☀| Comment(2) | JAZZはいかが? | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年06月25日

「AL HAIG TRIO」 Al Haig Trio

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 A.ヘイグは、日本では馴染みがあるのかないのか、よく分らない人だ。実績は充分ある。C.パーカーやD.ガレスピーといった巨人たちとも共演している白人バッパーだ。自身のアルバムも何枚か出しているが、数はそんなに多くないのではないか?

 マニア好みというのだろうか、一時、高値で取引されるほどの幻の名盤とも言われるアルバムもあった。その一枚が今回紹介する作品だ。

 私が彼に注目したのは、スタン・ゲッツと共演したアルバムを聴いてからだ。大分前に紹介した。

 押さえ気味のプレイではあるけれど、確かなテクニックと無駄のない音使いに好感を持った。彼のプレイは、一体、誰の影響を受けたのだろうと思うことがある。いろんな要素が含まれていて、「**だ」と特定しにくいのだ。

 パウエル的な所もあるし、流れるようなタッチはA.テイタムを思わせる。ハデではないが、飽きさせない演奏だ。

 トップに揚げたジャケットがオリジナルだが、その後、米や日で再発売された時は次のようなジャケット写真で発売された。

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 どうしてこのような事をしたのか、いきさつは分らないが、しかし、珍しいことではない。輸入盤と国内盤のジャケットが違っていて、違和感を覚えたことはよくあった。しかし、マニアは音だけでなく、ジャケットにもこだわるから、レコード会社もつまらぬことをするものだ。

 さて、このアルバムに収録されている曲は、全て名曲ばかりだ。私の好きな曲が多く、嬉しい。この中に、「Is't it Romantic」というナンバーが入っている。大好きな曲だが、何回か聴いていたら、「あれ?」と思った。B.エバンスのシェリーマンズ・ホールでのライヴ録音アルバムの中にもこの曲が演奏されているが、その演奏と良く似ているのだ。エバンスの方が10年後に録音したから、もしかすると、ヘイグの演奏を聴いていて、それが頭の隅に残っていたりして・・・? 私の勝手な想像ではあるが。

 
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 CD盤。1954年録音。
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2009年05月28日

「John Coltrane Plays BALLADS」 John Coltrane

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(画像上でクリックすると、大きな画像が表示されます)


 コルトレーンには今もって熱狂的なファンが多いようだ。私も、30代半ば頃までは、一端のコルトレーン狂信者を自認していた。

 今振り返ると、どうしてあんなに夢中になったのか不思議な思いもする。若い時の旺盛なエネルギーを真正面から受け止め、吸収してくれたからだろうか?聴き始めると、何時間でも飽くことなく聴き続けたものだ。その都度、背中がぞくぞくした。

 しかしある時期から、彼の演奏は激しくなり、演奏時間も長くなり、しかもサイドメンにはほとんどソロを取らせず、ワンマン・バンド化してしまった。また、メッセージ色の強いタイトルにも違和感を覚えるようになった。それに反比例するかのように、私のエネルギーは下降線を辿るようになり、彼の激しい演奏について行くことが辛くなってきた。

 やがて夢から覚めたかのように、パタっと聴かなくなってしまった。すると今度はそれまでの反動か、耳当たりのよいライト・ジャズやフュージョンといった軽い演奏を聴くことが多くなった。

 数年もそんな聴き方を続けていると、やはり、軽い音楽は飽きてしまう。耳当たりが良いだけで、心に残らないのだ。そんな時に忘れかけていたコルトレーンのアルバムを引っ張り出して、聴いてみる。それも大好きだった頃のアルバムだ。

 例えば、インパルス時代の「バラード」などだ。心に染みるように彼の音が入ってくる。「やはりいいなあ・・・」と陶酔してしまう。それも、アナログ盤で聴くに限る。あの激しい彼の演奏からは想像できないほど、実に美しい。このアルバムは数え切れないほど繰り返し聴いたので、1枚ボロボロにしてしまった。その為、その後再発売される度に買い求め、現在、アナログLPレコード三枚、CDも普通盤と高音質盤の2枚を所有している。私にとっては、宝物だ。

 さて今回紹介するアルバムも、やはり、「バラード」のタイトルがついている。しかし、こちららは別物「バラード」だ。インパルス盤「バラード」が余りにも高評価を取り、良く売れたので、「柳の下のどじょう」狙いで出したのではないか、と勘ぐってしまうが、どうして、中身は素晴らしい。

 マイルス・グループに所属していた時期の演奏だ。彼はマイルスとの活動とは別に、プレステージ・レーベルに多くのリーダー作品を残した。それらアルバムの中からバラード演奏を集めたのが今回紹介するアルバムだ。前記のインパルス盤がアルバムのために制作したのとは意味あいが全く違う。


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 当然だが、マイルス・グループのメンバーと共演しているものが多い。そんな中で、タッド・ダメロンと共演しているのが珍しい。誠に渋いピアニストで私も好きだ。かつてはクリフォード・ブラウンやベニー・ゴルソンとも共演している。作曲の才にも優れており、「グッド・ベイ」とか「アワ・デライト」などが有名だ。「Darn that Dream」も彼の作品ではなかったか?

 コルレーンは難しい、と敬遠されている方にも是非、聴いて欲しいものだ。

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 CD盤。1956-1958年録音。
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2009年05月14日

「SHOWBOAT」 Kenny Dorham 5

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 K.ドーハムは私の好きなトランペッターの一人だ。余り饒舌でない所に好感が持てるし、やたらとテクニックを押し出さない点も好きだ。ハイ・ノートを控え、中音域主体のプレイで、これはマイルスやC.ベイカーに通じる所がある。なにより、唄心に溢れている。だから、何回聴いても飽きることがない。

 ドーハムは若いときからすごいプレーヤーと共演を重ねてきた。D.ガレスピー、L.ハンプトン、C.パーカーなどだが、とりわけ、M.ローチ/C.ブラウンによるいわゆる双頭コンビによるグループに参加したことは、大きな注目を浴びた。天才ペッター、C.ブラウンが交通事故で亡くなったため、急遽、彼が後釜として迎えられたのだ。その後は、J.マクリーンとコンボを組んだりしたが、60年代に入ってからは、フリーとして活躍した。残念ながら、1972年、48歳の若さで亡くなった。腎臓病だったらしい。

 唄心があるから、作曲でも良い作品を残している。「ブルー・ボッサ」なんか特に有名だが、ジョー・ヘンダーソンの演奏でヒットしたので、つい最近まで、ヘンダーソン作と誤解していた。他にも、「ウナ・マス」なども、多くのプレーヤーによって演奏されている。

 このアルバムは、有名なミュージカル「Showboat」からの作品を集めたものだ。アメリカ初のミュージカルといわれているが、偉大な作曲家ジェローム・カーンとオスカー・ハマースタインの作詞・脚本によるものだ。どの曲もスタンダードになっているところが凄い。

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 ドーハムの代表的なアルバムに、「静かなるケニー」がある。こちらも素晴らしい作品で、これと合わせて是非聴いて欲しいものだ。

 CD盤。1960年録音。Kenny Dorham(Tp),Kenny Drew(P),Jimmy Heath(Ts),Jimmy Garrison(B),Arthur Taylor(Ds)
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