2009年04月08日

「FASCINATING JAZZ」 Jim DeJulio

 前回のポスさんのアルバムで、こんなにもコメントが盛り上がるとは思わなかった(笑)。そろそろ、雰囲気を変えてと・・・。


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 何回も書いているが、大学に入ると同時に軽音楽サークルに入部し、生まれて初めてベースに触れた。

 当時は、ベースといえばダブル・ベースのこと、つまりウッド・ベースを指した。エレキ・ベースが普及するのはもう少し後になってからだった。

 ウッド・ベースは厄介な楽器で、ボディは大きいし、弦は太い。小柄な人が弾くと、ベースに止まったセミのようだった。初めてネックを握った時、「ふてー!」と驚いたし、弦を押さえるとその張力に負けそうになる。でも、しっかり押さえないと音が出ないから、必死に力を入れて押さえた。すぐに指が痛くなり、30分も弾くと指にマメができた。「これはどんでもない楽器だ!」と恐怖したものだ。毎日のように、格闘した。

 やがてベースがいかに面白く、奥の深い楽器であるかが段々と分ってきた。そうなると俄然熱心になり、色々なプレーヤーの演奏を聴いては参考にした。最初はハワイアンのベース・プレーヤーを参考にしたが、それでは物足りなくなり、ジャズ・ベースに夢中になった。

 そのキッカケはO.ピーターソン・トリオを聴いてからではなかったかと思う。トリオの1人であるレイ・ブラウンにいたく感激した。4ビートは勿論、2ビートでもすごく音楽的に聴こえた。歌っているからだ。ブラウンの音使いに憧れたものだ。

 ベースのしっかりしているバンドは安心して聴くことができる。アマチュアバンドでも、ベースが弱いと魅力が半減する。まず例外なく、ちゃんとしたバンドはベースもしっかりしているものだ。

 元来、「ベースは縁の下の力持ち」と言う考えが根強くのこっていて、いまでもそんな傾向があるようだ。しかし、ベース奏法の進歩には目ざましいものがあり、リード楽器としての可能性さえ見えてきた。

 数はまだ少ないが、ベースプレーヤーによるアルバムも珍しくない。かつては、ポール・チェンバースの「Bass On Top」が名盤として高い評価を受けたし、R.ブラウンも何枚か出した。しかし、私自身はベースが頭になるよりも、サイドメンとして支える方が好きだ。その中で、からんだり、ソロをとるほうが魅力的だ。

 そういいながら、今回紹介するアルバムはベース奏者によるリーダー作だ(笑)。

 Jim DeJulioという人で、恐らく、誰も知らないのではないか。国内盤として出たという話も聞かない。いろいろと調べたが、まだ経歴が分らない。CDのライナー・ノーツにも書かれてない。

 共演しているメンバーを確認すると、D.ベノワ(P)やエディ・ダニエルス(Cl)といった名手が入っていたので、実力者に違いないと期待して購入したものだ。

 その思惑に間違いなかった。素晴らしいプレーヤーだ。クラシック奏法を勉強したと思われるテクニックの高さは見事で、細かい難しいフレーズでも高度なフィンガリングでゆるぎなく弾き切る。音色も大変クリアで、ピッチも正確、どしっとしたビートは魅力だ。アドリブソロもメロディックで明解。

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 恐らく、いろんな有名プレーヤーと共演しているはずだが、その内、調べてみたい。

 CD盤。録音年不明。 Jim DeJulio(B),David Benoit(P),
Eddie Daniels(Cl),Roy McCurdy(Ds),Wally Minko(P),Paul Smith(P) etc.


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2009年03月12日

「I Like Jessey Best」 John Pizzarelli.Jr.

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 ジャズ・ボーカルの好きなたぬきさんも、多分、気に入るアルバムだと思う。別に、気に入ってくれなくてもいいんだけど・・・(笑)。

 デビューして間もない頃だったと思うが、日本公演のために来日し、某民放TV局に出演した。背が高そうで、なかなかハンサムだった。顔はちょっと馬面に見えたが、スター性が充分伺えた。1960年生まれというから、まだ48歳だ。これから渋みが増して、更に良くなるにちがいない。

 唄を聴いてびっくりした。クールで粋で、乗りがよく、素晴らしい声の持主だった。ギターを抱え、リズムを刻みながらの唄は洒落ていた。しかも唄だけでなく、ギターソロでアドリブまでとり、それもまた見事だった。

 かつてのN.キング・コールを思い起こさせる、歌ってよし、弾いてよしのプレーヤーだ。ギターの音がいやに分厚く、和音が重厚に聴こえた。それもそのはず、特注ギターらしく、7弦ギターだった。ベース的な役割を出す為に、普通の6番線の下にオクターブ下の弦を張っていたのだ。これが大変格好よかった。

 この瞬間から彼のファンになり、以来、10枚近くのアルバムを購入した。ギターの腕前も大したものだとは思うが、もし、ギタープレーヤーとしてだったら、ここまでの成功はなかったと思う。やはり、ボーカルに魅力がある。うまいギタリストはゴロゴロいるから・・・。

 このアルバムは彼のデビュー盤になる。N.キング・コールに影響されただけあって、収録されているナンバーにはコールの持ち歌が多い。コールとはまた違った魅力の歌い方だ。

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 ここで共演しているBucky Pizzarelliは彼の父親だ。なかなかのキャリアの持主で、ベニー・グッドマン楽団のレギュラーメンバーとして良く知られていた。リズムギターに徹しており、彼の刻むリズムは心地よい。この父親が7弦ギターを弾いていたことで、ジョンも手がけるようになったのだろう。また、弟のマーチン・ピザレリはベースを弾いているので(このアルバムには参加していない)、音楽一家だ。

 またピアノを弾いているR.Kassoffが大変素晴らしい。無駄な音がなく、でしゃばらない弾き方には好感を持った。センスの良さを感じる。

 CD盤。1983年録音。John Pizzarelli(Voc/Gt),Bucky Pizzarelli(Gt),Russ Kassoff(P),Jerry Bruno(B)
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2009年02月24日

「EVERY STEP OF THE WAY」 DAVID BENOIT

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 D.ベノワは、今や、フュージョン・ピアニストの第一人者となった感がある。元々は、ジャズ・ピアニストとしてスタートした。

 1953年生まれということなので、現在、55,6歳になる。17歳でデビューしたらしいから、キャリアは長い。

 この人に注目し始めたのは、一時、FM東京で局のイメージソングとして、番組と番組の間でよく流れていたのを耳にしてからだったと思う(アルバムの一曲目に収録されている)。大変美しいタッチに魅かれた。

 フュージョン・ピアニストといえば、真っ先にデイブ・グルーシンが思い浮かぶが、ベノワのサウンドには、グルーシンの影響を感じる。中々、上質なフュージョン・サウンドを聴くようなアルバムに仕上がっている。

 この作品は1987年の録音と思われるが(記載されていないので、推定)、彼が34歳の時だ。アメリカでの注目度が急上昇し始めた頃だから、その勢いに乗ってアルバム作りが進められたのだろうと考えられる。


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 彼の実力を裏付けるように、制作に参加したミュージシャン達が凄いメンバーだ。いづれも、ジャズ・シーン、フュージョン・シーンにおける第一人者ばかりだ。

 録音も秀逸で、オーディオ的にも満足できる。

 全11曲中、10曲が彼のオリジナルだ(一部、共作もある)。

 ただ、正直に云うと、面白くない演奏も含まれている(私個人の印象です)。その為、手放しで薦められない所がちょっぴり複雑だ。

 CD盤。1987年録音(推定)。David Benoit(P/Key),Russ Freeman(Gt),Eric Marienthal(As),Nathan East(B),Stanley Clarke(B),Harvey Mason(Ds) etc.
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2009年01月28日

「Plenty,Plenty Soul」 Milt Jackson

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 これはM.ジャクソンの数あるアルバムの中でも、ベスト5に入るのではなかろうか? 彼の瑞々しいプレイがふんだんに聴ける。1957年の録音だからかなり古い。

 ハワイアンからジャズに関心が移り始めた大学生時代、新宿の「オザワレコード」という知る人ぞ知る、輸入盤専門の店で買ったことを憶えている。ジャズに関心を持つようになったとは云え、まだほとんど無知に等しかったから、M.ジャクソンといっても、ろくに知らなかった。ただ、当時、聴きやすかったという理由で、MJQの演奏をよく聴いていたので、そのグループのメンバーであることを知っていた程度だった。

 何かジャズ・レコードを買おうと思っても、一体、何を選べば良いのか分らず、知っている名前のプレーヤーのものばかりを探した。そんな中で目に留まったのが、このアルバムだった。

 MJQとは離れて、全く異なるメンバーと共演していることに興味を覚えた。大枚をはたいて購入したが、確か、2000円以上はしたと思う。当時の大卒初任給が2,3万円の時代である。やはり、高価なものだった。

 収録されている曲は、一つも知らなかった(笑)。だから、もしつまらなかったらどうしよう、と不安があった。だが、家で早速聴いてみると、そんな心配を吹き飛ばすほどの素晴らしさだった。

 フルバンド風にアレンジされた9人編成によるものと、6人によるコンボ編成の演奏の二つに分かれている。いづれも、アレンジはQ.ジョーンズだが、当時まだ若干23歳だから、驚く。厚みのあるハーモニーはさすがだし、それをバックに縦横無尽に弾きまくるM.ジャクソンのプレイは素晴らしい。メンバーがまた凄い。当時はほとんど知らぬ名前ばかりだったが、いま見直してみると、スタープレーヤーばかりだ。

 ブルースを主体に構成されているが、ブルース以外で気に入ったのが「Sermonette」というナンバーだった。この曲、確か、B.エモンズもスチールギターで弾いていたなあ。

 キャノンボールの作品だが、大変美しい曲だ。導入部から全体を引っ張っていくベース(O.ペティフォード)に痺れた。ハワイアン・ベースとは明らかに違う音の選び方に触発され、必死になって、そのベース音をコピーした。ハワイアン・サークルに入って、まず手がけたのがベースだったから、ベースには特別な関心があったのだ。

 大変気に入ったレコードだったのに、友人に貸したことが間違いだった。二度と返ってくることはなく、彼もその後、行方不明になってしまった。以来、どんな親友であろうとも、大切にしているレコードやCDなどは、絶対に貸さないことに決めた。もし、どうしても聴きたければ、我家で録音させた。

 やがて、CD盤として再発売された事を知り、即、購入した。昔、感動した思いを再び味わえるぞ、とワクワクしながらセットした。所が、なんか違う。記憶している音とギャップがあるのだ。最も聴きたかった「Sermonette」も、当時感じたドライブ感が伝わってこない。いや、M.ジャクソンのプレイはやはり素晴らしいのだ。

 どうも不満はオーディオ的なことだった。当時持っていたアルバムは勿論、輸入盤であり、オリジナル盤だった。アナログレコードでは、ベースの音は太く腰があり、全体をどっしりと支えていた印象があった。

 だが、CD盤の音はまるで腑抜けで、ベース音も弱々しく聴こえる。これはどういうことだろう? 当時聴いた装置と現在のものを比較すれば、問題にならないくらい今のほうが音は良いはずだ。それなのに、昔聴いた音のほうが印象が強いとは・・・。

 デジタル化するときに大事な成分の音まで消してしまったなんてことはないのだろうか? それと、レコードではモノラル録音だったはずだが、CDではステレオになっている。私の記憶違いかもしれないが・・・。そもそも、1957年に録音した当時、ステレオ録音されていたのか、これも疑問に思っている。

 色々と疑問、不審なことが多い。だが、演奏そのものは間違いなく素晴らしく、名盤だ。

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 CD盤。1957年録音。Milt Jackson(Vib),Cannonball Adderley(As),Lucky Thompson(Ts),Frank Foster(Ts),Sahib Shihab(Bs),Joe Newman(Tp),Jimmy Cleveland(Tb),Horace Silver(P),Percy Heath(B),Oscar Pettiford(B),Art Blakey(Ds),Connie Kay(Ds),Quincy Jones(Arr)
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2009年01月13日

「EVERYBODY DIGS BILL EVANS」 BILL EVANS TRIO

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 エバンスは私の好きなピアニスト、それも特別に好きなプレーヤーの一人だ。その為、数多くのアルバムを所有しているが、この作品は長いこと、聴く機会がなかった。

 1958年11月に録音されたものだから、まだマイルス・グループの一員だったころだ。彼がマイルスと共に活動したのは、1958年2月から11月までの、僅か9ヶ月間だった。と云うことは、これを録音した直後に脱退したことになる。

 エバンス・トリオの初期作品として興味深いところだが、随所にその後の彼の演奏スタイルにつながっていくプレイを聴くことができる。不朽のトリオを確立するまでには、数多くの試練や迷いがあったはずだが、一番頭を痛めたのは、恐らくメンバーの選定ではなかったか。

 ここで共演しているメンバーは、サム・ジョーンズのベース、フィリー・ジョーンズのドラムスとなっている。はっきり云って、エバンスとは「水と油」ほどの音楽感の相違を感じるのは、私だけだろうか?

 勿論、二人とも、凄い腕前を持っているに決まっている。でもエバンスとは肌合いが違う。特にアップテンポの曲でそれは顕著だ。なんといったらいいのか、リズム陣がビー・バップやハード・バップの殻からぬけだせていないのだ。エバンスが時代の先を行っている印象だ。

 それでも、エバンスのタッチは美しい。とりわけ、ソロ・プレイで遺憾なくその魅力を発揮している。名盤である「Portrait in Jazz」や「Waltz for Debby」を思い起こさせるプレイがすでに芽生えている。

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 CD盤。1958年録音。Bill Evans(P),Sam Jones(B),Philly Joe Jones(Ds)
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2008年12月13日

「Tales from the Hudson」 Michael Brecker

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 当ブログは、スチールギターやハワイアンに関する話題を中心に取り上げているつもりだが、ジャズにも関心が高い。いや、むしろ、ジャズこそが私にとっては、なくてはならぬ大切な音楽かもしれない。

 20代、30代の頃は、浴びるほど聴いたものだし、安い給料のほとんどをレコード購入に費やした。独身時代は実家からの通勤ということもあって、入ってくるお金は気にすることなく、そういう道楽につぎ込めた。親には、ほんの申し訳程度の食費を渡すだけの、困った息子だったのだ(笑)。

 結婚すれば、普通はそんな金の使い方はできなくなるはずだが、働き者(?)の妻と一緒になったことで、時代の先端を行く(?)ダブル・インカム。あまり、生活費の事を心配することなく、独身の時と変わらず、レコード収集に金を注ぐことができた。もっとも、妻は妻で、私以上に身につけるものや、着るものなどに消費していたようだが・・・。因みに、私はそのようなものには全く関心がなく、一週間同じものを着ても平気だった。今でもそんな所があるなあ。つまり、二人して金を貯めることのできない性分なのだ。

 20代半ばから30代半ばまでの間、最も夢中になったプレーヤーはジョン・コルトレーンだった。一種、麻薬中毒にかかったかのように、ひたすら、彼の演奏を求め続けた。今振り返っても、どうしてあんなに夢中になれたのか、熱にうなされたような一時期だったように思う。

 恐らく、コルトレーンのアルバムは100%近く所有しているだろうし、他のプレーヤーによるアルバムでも、彼の名前を見つけると、迷わず手に入れた。続きを読む
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2008年11月25日

「ART TATUM / BEN WEBSTER」

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 A.テイタムは戦前から1950年代にかけて一つの時代を築いた大ピアニストだ。

 彼の片目が盲目だったことは有名だが、もう片方の目もほとんど視力がなかったらしい。凄いハンディキャップを抱えていた。13歳の時にバイオリンを手がけたそうだが、すぐにピアノに転向した。随分遅いスタートだが、それでも驚異的なテクニックで、縦横無尽に弾きまくるのだから、やはり本当の天才は違う。

 彼が影響を受けたピアニストとしては、ファッツ・ウォーラやアール・ハインズが特に大きかったという。ハインズは私も好きなピアニストだ。しかし、その後のテイタムに続くピアニストは多かれ少なかれ、彼の影響をうけているのではないか。特に、O.ピーターソンは最たるものだし、バド・パウエルなんかもそうだ。

 バカテクともいえる華麗な奏法は彼独自のもので、一つ一つの音の粒が際立って美しい。どんなに速いフレーズでも、音に乱れがなく流れるようだ。全く揺らぎのない演奏を繰り広げる。

 1956年の録音だが、50年以上も前にこのような洗練された演奏をしていたとは驚きだ、ただ、余りにもスタイルが完成されているので、何曲か続けて聴くと、段々、飽きてくる。独特のフレーズが耳についてくるからだ。最も、これは聴き手である私のわがままではあるが・・・。

 共演しているB.ウェブスターは、かつてD.エリントン楽団の花形テナーマンとして活躍した。当時のテナーの3大巨人の一人とも称された。C.ホーキンスともう一人は誰だったかなあ・・・思い出せない。

 ウェブスターの魅力はやはりその音色だろう。この上もなく甘いトーンだ。それでいて、図太い芯がある。ゴリゴリと吹きまくるタイプではなく、しっとりと優しく包んでくれるような演奏だ。

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 1956年録音。CD盤。Art Tatum(P),Ben Webster(Ts),Red Callender(B),Bill Douglass(Ds)
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2008年10月31日

「Quiereme Mucho」 Steve Kuhn Trio

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 哀愁感、郷愁感漂う作品だ。

 S.キューンは日本でも比較的よく知られた(?)ピアニストだ。バカテクを強調するようなプレイではなく、何か、内面からジワリと伝わってくるものがある。

 色彩豊かなハーモニーにまず惹かれる。音色も美しいだけでなく、一本筋が通ったような明快な音だ。私の好きなジャズ・ピアニストの一人と言っていい。

 このアルバムは、勿論、ジャズの作品ではあるが、全曲有名なラテン・ナンバーで占められている。60代以上の世代であれば、懐かしい曲ばかりではなかろうか?

 私の青春時代には、色々なジャンルの音楽が混在していた。今だって、沢山の種類の音楽が存在しているのだけれども、私からみると、偏りすぎた聴き方をしているような気がしてならない。だが、当時は一つのジャンルに留まらず、ごった煮の感じで同時に受け入れ、その違いを楽しんで聴いていた。これはとても幸せなことで、どんな音楽にも魅力があることを気がつかせてくれた。

 大学時代、アルバイトでよくバンド演奏を頼まれた。ダンス・パーティーだったり、ビアホールだったり、会社の慰安会、キャバレー、クラブ、ホテル等々、いろんな仕事を受けた。ハワイアン・バンドとはいっても、それら仕事の内容によってはまるで分野の違う音楽も演奏した。

 特に、ダンス・パーティーは大変だった。色々なリズムを取り混ぜて演奏することを要求された。ラテン、ジャズは勿論、タンゴまで演奏した。だがこのような演奏も、多種多様の音楽を聴いていたから、余り抵抗なく受け入れることができたし、役に立ったと思う。

 このアルバムに入っているナンバーの何曲かは当時、よく演奏したものだ。6曲中、4曲はレパートリーに入っていた。

 所で、S.キューンはアメリカ生まれだが、キューンという名前からして、ドイツ系アメリカ人と思われる。1938年生まれというから、現在、70歳か? 大変優秀な頭脳の持主のようで、ハーバード大学を卒業している。日本でいえば、T大出身のジャズ・ピアニストみたいなものかな?

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 ちゃんと向かい合って聴くも良し、BGM風に聞き流すも良しの好アルバムだ。

 CD盤。2000年録音。
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2008年10月14日

「My Romance」 Thomas Fink 3

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 「また知らないプレーヤーを紹介してきたな!」と、たぬきさんに云われそうだ。

 別に意識して、そのようなアルバムばかりを探し出しているつもりはない。そんなことよりも、今度は何を紹介しようかと考える方が面倒なので、目を瞑って、適当にCDやLPを抜き出しているといってよい。たまたま書きたくもないアルバムだと困ってしまうが・・・(笑)。

 「Thomas Fink」、確かにほとんど誰も知らない名前に違いない。私自身、こんなアルバムをいつ手に入れたのか、思い出せなかった。それほど忘れるということは、あまり印象に残る演奏ではなかったのかなと思い、再確認のため、聴きなおした。

 一曲目の「My Romance」が流れた途端、思い出した。

 CDショップに流れていたこのアルバムに耳が止まり、ジャケットを見せてもらった。聞いた事もない名前だった。だが、大変美しく流れるようなタッチの演奏が気に入り、即、購入した。

 ヨーロッパでもジャズは盛んで、レベルも高い。世界の三大ジャズ・マーケットの一つに入る。あとの二つは、勿論、本場アメリカであり、我が日本だ。中でも、フランスや北欧のデンマーク、スウェーデンは優秀なプレーヤーが輩出しているし、逆に、アメリカの実力プレーヤーがヨーロッパに移住し、活躍している例も珍しくない。

 フィンクはドイツ出身で、国内で活躍しているらしいが、正直、ドイツのジャズ事情は分らない。私だけが知らないだけで、優秀なプレーヤーは存在するに違いないが・・。続きを読む
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2008年09月26日

「Dreamer」 Harry Allen 5

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 つい最近まで若手プレーヤーと思っていたが、もうベテランの域に入ってきた。1966年生まれだから、42歳か。まさに油の乗った年齢だ。大変、歌心のあるテナー・マンであり、好きなプレーヤーの一人だ。

 もう一人、彼より一回り上のプレーヤーにスコット・ハミルトンという、やはりテナー・マンがいる。1954年生まれの54歳だ。彼も若手だとばかり思っていたが、押しも押されぬベテラン・プレーヤーになってしまった。

 彼ら二人はスタイルこそ全く異なるものの、日本ではどちらも人気が高い・・・と思う。アレンはいわゆる白系、スタン・ゲッツの影響を強く感じさせるクール・サウンドだ。ハミルトンの方は、ベン・ウェブスターやコールマン・ホーキンスといった古いタイプの影響を受けたと思われる。もっとも、アレンはウェブスターやホーキンスからも影響を受けたことがあると云っているようだが、このアルバムを聴くかぎり、ゲッツの再来かと思わせるほどだ。

 このアルバムは彼がボサノバを取り上げた第三作目に当たる。といっても、全曲が純粋のボサノバ曲というわけではなく、ビ・バップ時代やモダン・ジャズの名曲からも選曲されており、それら作品を巧みなアレンジによるボサノバ・リズムで演奏している。例えば、「チュニジアの夜」とか、「Bye Bye Blackbird」だ。

 アレンの音色はクールであると書いたが、目を瞑って聴いていると、一瞬、「ゲッツか?」と錯覚するほど、音色がよく似ている。実に魅力的な音だ。

 そういえば、ゲッツもかつてはボサノバ・アルバムを出して、ボサノバの大ブームを起こした時代があった。彼らのクールな音色はボサノバにはよくマッチするということだろう。アレンのフレーズも実に滑らかで、メロディアス。

 このような演奏を聴くにつけ、スチールギターで応用できないものかと、思ってしまう。サックスとスチールギターでは楽器としての特性が全く違うから、サックス・フレーズをそのまま真似することは難しいだろう。しかし、技術的に可能なフレーズだけでも盗み取って、一つでも肥やしに出来たならと、できもしないことを考える。ここは是非、「たぬきさん」あたりに挑戦してもらいたいものだ。自分では挑戦することなく、他人にやらせるタイプなのだ(笑)。

 アルバムにはボーカルも2曲ほど入っているのだが、私の好きなタイプではないので、ノー・タッチです(笑)。

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 CD盤。2001年録音。
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2008年09月06日

「A Generation Ago Today」 Kenny Burrell

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 このアルバムは日本でもなかなかの人気盤だった。私がジャズに夢中になった頃だったから、飽かずに何度も聴いた。

 ギターのケニー・バレルは日本の多くのジャズファンに受け入れられ、某ジャズ誌の人気投票でも、ギター部門でトップの座を続けていた。当時はジャズプレーヤーの大物が目白押しで、ギタリストに限っても、ケニーの他に、W.モンゴメリー、J.ホール、B.ケッセル、或いは、ハーブ・エリスも頑張っていた。

 どのプレーヤーも個性があり、音色もまるで違う。皆んな、私は大好きだ。

 ケニーは1931年生まれというから、現在、77歳になるのだろうか? 喜寿だ(笑)。ケニー節というのか、ブルーノートのオンパレードによるアドリブを得意とするから、特にブルースを弾かせたら素晴らしいが、歌ものだって、大変魅力的だ。

 音色も実にクリアで、音に腰があり、また、スピード感に溢れていて、よくスイングする。アドリブも、変に難しい、とっつきにくいフレーズではない。思わず、一緒に歌いたくなるような分りやすいソロだ。すっと耳に入ってくる。これは、恐らく無駄な音がないといことでもあるのだろう。

 このアルバムで共演しているプレーヤーがまた凄い。私も好きなフィル・ウッズやロン・カーターが力演している。ウッズの上手さは相変わらずだ。上手すぎるとさえ思ってしまう。

 この頃のカーターのベースもいい。レイ・ブラウンとはまた異なった4ビートでのベースランニングが新鮮だ。

 収録されているナンバーはいづれもスタンダードや歌ものだ。どれも聴かせてくれるが、特に、「Rose Room」は特筆ものだ。


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 LP盤。1966-1967年録音。Kenny Burrell(Gt),Ron Carter(B),Phil Woods(As),Grady Tate(Ds),Richard Wyands(P).Mike Mainieri(Vib)
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2008年08月17日

GERSHWIN PLAYS GERSHWIN / THE PIANO ROLLS

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 このアルバムは大変ユニークだ。素晴らしいアイデアで作られたと思う。

 G.ガーシュインといえば、音楽ファンであれば知らぬ者はいないだろう。それも、クラシック界、ジャズ界の二つの世界で高い評価を得ている。

 素晴らしい作品を多数残し、特に、ミュージカル音楽に於いて卓越した才能を顕した。彼の作品からは、いわゆるジャズ・スタンダードとして弾き継がれているものは枚挙にいとまが無いほどだ。「Someone To Watch Over Me」「Our Love is here to stay」「Swanee」「The Man I love」「I Got Rhythm」などは、私の大好きな曲だし、他にも、「Summertime」なんかは特に有名だろう。大作としては、「ラプソディ・イン・ブルー」「巴里のアメリカ人」「ポギーとベス」などがあり、まさに巨人にふさわしい仕事を残した。

 彼はピアニストとしても素晴らしい才能の持主であったようだ。だがそれが最初は独学というのだから驚く。

 戦前のアメリカではロールピアノというのが大変流行した(特に1900年から1931年頃まで)。よく、古いアメリカ映画を観ると、酒場の隅にこのピアノが置かれていて、鍵盤だけが動いて演奏している場面が出てきたことを憶えている。まだ子供の頃だったから、不思議でしょうがなかった。

 ロールピアノというのは、オルゴールの原理に似ているのだが、演奏による鍵盤の動きに合わせて、紙のロールに孔が空けられている(パンチング)。そのロールをフットポンプで空気を送り、回すことによって鍵盤を打たせる仕組みだ。後にはフットポンプに代わって、モーターで動かすようになる。現在でいう、自動演奏ピアノの原点だ。

 ガーシュインはこの自動演奏ピアノの鍵盤上に指を置き、その動きに合わせて練習したというのだが、本当だろうか? これが契機になって、その後は正規のレッスンを受けるようになるのだが・・・。

 ピアノに入るキッカケがそのようなものだったから、ロールピアノにはとりわけ関心が高かったようだ。彼は、自分の演奏を多数、ロールに記録して残した。

 その残された多数のロールから厳選し、それらを現代の新しい自動再生ピアノ技術による方法でデジタル記憶媒体に移し替え、再生したものをCD化したものだ。

 実際にガーシュインが弾いたものが蘇っているかと思うと、不思議な気持ちだ。70年以上も前に演奏されたものが、現代の新しいピアノで演奏される。勿論、当時はこんな綺麗な音ではなかったはずだが、演奏そのものはやはり素晴らしい。色彩豊かなハーモニー、その後のジャズピアニストに影響を与えたであろうスライド奏法、歯切れのよいリズム感など、改めてその素晴らしさが伝わってくる。 

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2008年07月29日

「SANBORN BEST! - DREAMING GIRL」 DAVID SANBORN

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 超マイナー、ほとんど誰も知らない無名プレーヤーのアルバムばかりを紹介してきたが、今回は超有名、大物プレーヤーであるD.サンボーンのアルバムだ。

 サンボーンはアルト・サックス奏者として大活躍しているし、日本にもファンが多い。特にジャズファンでなくとも、名前くらいは聞いたことがあるのでは?

 彼は子供の頃、小児麻痺にかかり、その治療のためにサックスの練習を医師に勧められたことが、その後の彼の人生を大きく変えた。14,5歳でアルバート・キングと共演するのだから、やはり、並の才能ではない。因みに、A.キングというのは、知っている人は知っているだろうが、ブルース・ギターの大御所で、B.B.キングやフレディ・キングと並び称された。E.クラプトンやJ.ヘンドリックスにも多大な影響を与えたというから、大変な人だ。

 プロ好みの音色を持っており、日本のアルト奏者にもかなりな影響を与えている。いわゆる普通のアルトらしい音に飽き足らなくなると、サンボーンのような音色を追いかけたくなるのかも知れない。ソウル系、フュージョン系の音楽を吹かせたら、ピカイチだろう。

 たまにCMのバックで流れてくると、一発で彼の音だと判別できる。そのくらい個性の強い音だ。

 このアルバムは、既発売された4枚のCDから選曲された彼のベスト盤だ。ファンク、フュージョン、ラテン、バラードと、様々なスタイルで吹き分けている。中でも、「Smoke Gets In Your Eyes」「Georgia On My Mind」でのソウルっぽいバラード演奏は秀逸だ。

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 恐らく、たぬきさんには好みでないかも・・・(笑)。

CD盤。1991-1995年録音。David Sanborn(As),Marcus Miller(B),Paul Peterson(Gt)etc.
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2008年07月14日

「SUBTLE SOUND」 JOE BURTON TRIO

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 どうも私は、マイナーなミュージシャンを紹介することが多いような気がする。今回も、マイナーもマイナー、超マイナー。この人を知っている方は日本でもどれだけおられるか? ひょっとしたら、私だけだったりして・・・。勿論、そんなことはない。世の中、狭いようで広いから、どこかに超マニアが存在するでしょう。

 世評高く、ジャズファンにも人気の高いプレーヤーのアルバムはゴマンとある。私もご多分にもれず、それらを多く所有しているから、その中から、一枚、一枚紹介するほうが情報も多いし楽なのだが、根がひねくれ者。むしろ、そういうアルバムを避けて、「こんな素晴らしいプレーヤーもいるんですよ」と紹介したい気持ちが強い。

 最近でこそ、CDを購入する数は激減しているが、かつて夢中になって、毎月20〜30枚くらいのペースで買っていた頃の買い方は実に節操なく、ポリシーもなかった(笑)。

 今でも金はないが、若いときはもっと金欠だった。だから、安い出物ばかりを探しては買った。特に、輸入盤の売れ残り、廃盤になったLPがターゲットだった。

 今の若い方は知らないだろうが、昔、LPレコードが廃盤になるとジャケットの隅に「廃盤」の印として、直径5ミリくらいの穴があけられた。だから私のような貧乏若者はその穴を目印に片っ端から探し出しては買い集めたのだ。LP一枚2500円前後のものが500円程度で手に入れる事ができたから、これを逃す手はなかった。

 CD時代になってからは、輸入盤の売れ残りに目をつけた。ダンボール箱の中に無造作に放り込まれている大量のCDから、ジャズ盤に絞って漁りまくった。特に誰のものが欲しいわけではない。一枚100円や200円程度で買えるから、「これは!」というものを当て推量で引き抜き、5枚、10枚とまとめて買うのだ。この時間が私にはとても幸せだった。

 このような売れ残りの中には、当然、有名プレーヤーのものはない。どこの馬の骨とも知らぬ、聞いた事もないようなプレーヤーばかりだ。正直言って、駄作がほとんどだ。しかし、100円、200円で買えるから、「やはりダメか!」と思っても、余り損した気分にはならない。

 それでも、2、30枚に一枚くらいは光るものが発見できるから面白いのだ。こういうときは得した気分だし、まるで自分が未知のミュージシャンを発掘したような気分にもなる。

 今回紹介するJ.バートンもそんな一人だ。ジャズ・プレーヤーの名鑑で調べても全く取り上げられていない。また、ライナー・ノーツにも彼の経歴らしきことは書かれていない。わずかばかりの情報から分ったことは、アメリカ生まれであること。ニューオーリンズで主に活躍したこと。ラジオやテレビ番組でも一時期活躍したらしいこと。こんな程度だ。年齢も分らないし、今も生存なのかどうかも不明だ。生きていれば、推定で80歳以上ではないかと想像する。

 演奏技術はなかなかのものだ。しっかりとしたタッチで音にメリハリがある。スタイルとしては、B.パウエルやT.モンクの影響を感じさせる。流れるようなフレージングはR.ブライアントにも通じる。全体としては地味だが、味わいのある演奏だ。1963年に録音されたもので、LPとして発売されたものだが、CD盤として再発売されたものらしい。

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 1963年録音。CD盤。Joe Burton(B),Jay Cave(B),Ronnie King(Ds)
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2008年06月29日

「AT THE PRELUDE」 RED GARLAND TRIO

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 R.ガーランドの名前を初めて知ったのは、やはり、マイルス・グループで活躍した頃の演奏を収めたレコードからだった。1954年から1958年にかけて特に活躍した印象がある。マイルスの前期黄金時代ともいえる期間だ。その一翼を担ったことで彼の名声を確固たるものにした。

 マイルス・バンドから彼が抜けた後に在籍したピアニストとしては、ウィントン・ケリー、ビル・エバンスがいる。マイルスが新しいジャズの方向を模索していた期間ということもあり、この二人は一時的なメンバーだった感がある。その後、若きH.ハンコックが入り、ジャズ史上最強ともいえるグループになって行くのはご存知の通りだ。

 ガーランドのプレイにはエロール・ガーナーの影響がある。ブロック・コードによる和音奏法が得意であり、スピード感ある右手のソロも快感だ。あまり垢抜けた演奏とはいえず(解説には「洗練された」と書いてあるが、私は異なる印象を持っている)、少々、泥臭い演奏だが親しみが持てて嫌いではない。ただ、どれを聴いてもワン・パターンに近く、何枚も続けて聴くことはいささか辛い(笑)。

 ブルースが得意ということもあって、13曲の内、4曲がブルースだ。さすがに上手い。また、マイルスのアルバムでも快演していた「Bye Bye Blackbird」をここでも演奏しているが、彼の十八番になってしまった印象がある。

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 このアルバムは1959年の録音だから、マイルス・グループを退団した後になる。クラブでのライブ録音だ。その後の彼は、1962年から引退同然になる。様々なトラブルが起きたことが原因らしい。1971年にカムバックし、2枚のアルバム録音するが、すぐに姿を消してしまった。この復帰したアルバムも持っているが、残念ながら往年の演奏には程遠く、がっかりした記憶がある。そして、1977年に再々復帰し、78年には来日公演も果たしたが、1984年に亡くなった。

 CD盤。1959年録音。Red Garland(P),Jimmy Rowser(B),Charles Wright(Ds)
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2008年06月16日

「A LOOK WITHIN」 JAVON JACKSON

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 J.ジャクソンの名前がすぐ分る方は相当なジャズ・ファンであろう。

 このアルバムは彼の第三作目に当たるが、12年前の1996年録音だから、今や、若手とはいえない年齢になってしまった。彼がテナーのソリストとしてデビューする前は、かの有名な「アート・ブレイキーとジャズ・メッセンジャーズ」に在籍していた。メッセンジャーズ最後のテナー奏者として中々の評判をとっていた。

 彼の土台になっているスタイルは、多分、コルトレーンとかジョー・ヘンダーソンといったモダンな奏法を基としていることが窺える。しかし、メッセンジャーズ時代の彼はこのようなスタイルをほとんど表に出さず、むしろ、オーソドックスなプレイに徹していた。もっとも、メッセンジャーズでコルトレーン風に吹いたら、かえって浮いた存在になってしまうかもしれない。

 1,2作目まではそのようなスタイルをひきずっていたようだが、本作ではかなりモダンな演奏に変わっている。特に、1曲目の「ASSESSMENT」、これは彼のオリジナルだが、コルトレーンを彷彿とさせるような演奏だ。硬質な音色がすごくいい。 

 また、4曲目の「Country Girl」を女性ボーカルのカサンドラ・ウィルソンが唄っている。ブルースだが、変に泥臭くなく、しんみりとした気分にさせられる。上手い人だな。

 そうかと思えば、9曲目の「リカド・ボサノヴァ」では、ジョー・ヘンダーソンのような音色に変わる。この曲はハンク・モブレーの演奏で有名だが、ここでは、ジプシー・ギターのようなバッキングに乗って哀愁漂う演奏をしている。とても気に入った。

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 CD盤。1996年録音。Javon Jackson(Ts),Casandra Wilson(Voc),Farled Haoke(Gt),Peter Washington(B),Lonnie Smith(Org),Billy Dolamond(Ds)etc.
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2008年06月03日

「The Uncollceted」 Doris Day

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 今回もボーカル・アルバムの紹介だ。

 ドリス・デイといえば、現在60代以上の方なら、誰でも知っている名前だろうし、懐かしいと思われる方も多いに違いない。日本でも高い人気を得ていた。

 中学生の頃、彼女の歌声がよくラジオから流れてきて、「色気のある声だな」と、まだ色気もなにもないガキのくせして、すっかり魅了された。

 前回紹介したR.クルーニーと同じように、D.デイも「先生のお気に入り」や「ピロウ・トーク」といった大ヒット曲を出したので、ポピュラー歌手のイメージが強いが、私は「彼女はジャズ歌手である」と思っているし、その方がふさわしい。異論もあるだろうが・・・。

 ジャズ歌手に必要なリズム感が抜群で、それが、絶妙な間の取りかたになっている。意外にも(?)、音域が広く、突き抜けるような高音も魅力だし、バラードでの艶めかしい声も素晴らしい。自由に声を操っている。

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 彼女の代表的なナンバーといえば、上記のほかに、やはり「センチメンタル・ジャーニー」から始まって、「Blue Skies」「ケセラセラ」、私の大好きな「Tea for Two」などなど、沢山挙げられる。

 このアルバムで紹介されている曲は、どれも名スタンダード曲といえるものばかりだが、貴重と言えるのは、色々なアルバムから作品を集めた、いわゆるオムニバス盤ではないことだ。ドリスのラジオ放送のために録音した中から、主に、1953年に録音したものを集めて、初アルバム化したものだ。

 時々、車の中に持ち込んで聴くと、心が癒される。

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 CD盤2枚組。1952-1953年録音。
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2008年05月19日

「EVERYTHING'S COMING UP ROSIE」 ROSEMARY CLOONEY

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 R.クルーニーは私の好きなボーカリストの一人だ。

 派手な所はないが、堅実な唄い方に好感を持っている。「ウケ」を狙ったような、奇をてらったようなパフォーマンスばかりの歌手は大嫌いだ。日本人歌手に多いような気がするが・・・。

 クルーニーは、昔も昔、50数年も前に「COME ON MY HOUSE」という曲で大ヒットを飛ばしたことがある。それ故、ポピュラー歌手という印象が強いが、 やはり、ジャズ歌手としての存在が大きかった。

 エラやサラ・ヴォーンのように、スキャットを駆使してアドリブを展開していくような唄い方はほとんどしない。原メロを大事に忠実に歌い、変な崩し方は決してしない。言葉も大変大切に扱うようで、はっきりと発音し、噛んで含めるような説得力のある唄だ。英語が不得意な私でも、比較的、聴き取りやすい。

 沢山のアルバムを出しており、どれを紹介しようか迷った。私個人の好みでは、「CONCORD」レーベルに移ってからの作品に佳作が多いので、その中から選んでみた。

 収録されている曲はどれもお馴染みのスタンダードばかりだ。しみじみとしたバラード、アップテンポでも乱れることのない言葉、聴き飽きることがない。

 「CONCORD」が抱えているミュージシャンには腕達者な者が多く、ここでも、ピアノのN.ピアース、テナーのS.ハミルトン、ペットのB.ベリー等々、皆、堅実なプレイでクルーニーの唄を良く引き立てている。

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 CD盤。1977年録音。Rosemary Clooney(Voc),Nat Pierce(P),Monty Budwig(B),Jake Hanna(Ds),Scott Hamilton(Ts),Bill Berry(Tp)
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2008年04月28日

「Sax Storm」 GRAND CENTRAL

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 紹介するアルバムは、かつて夢中になったジョン・コルトレーンを思い起こさせるような演奏だ。こういうアルバムを聴くと、昔を思い出して、血が騒いでくるような感覚になる。

 SAX奏者二人による二声ハーモニーや、モード奏法を基本としたコルトレーンを彷彿とさせるようなスリリングなアドリブ・プレイが繰り広げられる。

 この二人とは、Ravi ColtraneとAntoine Roney(アントワーヌ・ルーニー)といい、このアルバム録音時はまだ27才と29才の若さだった。名前からも想像できるように、Raviの父親はあの偉大なJ.コルトレーンである。兄もいたのだが、残念ながら早世した。父親がJ.コルトレーンということは、母親はアリス・コルトレーン(P)ということになる。しっかりと両親の才能を受け継いだのだろう、実に巧みなプレイをする。音色も素晴らしい。

 一方のA.Roneyは私も好きなウォレス・ルーニー(Tp)の弟だ。荒削りな所はあるものの、豪快な吹きっぷりだ。才能も感じさせる。

 このグループ名の「GRAND CENTRAL」はJ.コルトレーンが作曲したオリジナル曲から取ったようだ。

 収録されているナンバーはスタンダードやブルースが中心になっているが、新しい感覚でモード手法を多用した演奏になっている。曲名から期待して、普通のスタンダード・ジャズのイメージをもって聴くと、難解に聴こえるかもしれない。

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 だが私は、彼らのように若くて、スピード感のあるプレイは好きだ。所々、まるでかつてのコルトレーンを聴いているような錯覚すら覚える。

 特筆すべきは、ピアノのJ.テラソンのプレイだ。以前から好きなピアニストで、彼の強靭なタッチから生まれるアドリブやバッキングは圧巻だ。マッコイをもっと洗練させたような演奏だ。スタイルは全く異なるが、ピーターソンのタッチに似ていると思う。

 CD盤。1992年録音(推定)。Ravi Coltrane(Ts/Ss),Antoine Roney(Ts),Jacky Terrasson(P),Santi DeBriano(B),Cindy Blackman(Ds)

ドラムのシンディはなんと女性だ。女だからと侮る無かれ!凄いプレイをする。一聴の価値あり。
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2008年03月21日

「RUSSIAN LULLABY」 VLADIMIR SHAFRANOV TRIO

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 ジャズの世界ではまだ珍しい、ロシア人ピアニストによるアルバムだ。ウラジミール・シャフラノフと読む。ヨーロッパ人のジャズ・メンは珍しくないが、ロシア人は余り聞かない。

 ライナー・ノーツには書かれていないので、この人の経歴は分らない。音を聴く限り、クラシック・ピアノで鍛えたテクニックが随所に見られる。

 収録されている曲目は全編スタンダードばかりで、聴きやすいといえば、聴きやすいし、BGMとして聴くにはちょうど良い。タッチが大変美しいので、音色が大変綺麗だ。ただ綺麗過ぎて、例えば、H.シルバー作曲の「CAPE VERDEAN BLUES」や、私の好きなT.ダメロン作曲の「OUR DELIGHT」などでは、かえって物足りなくなってしまう。もっと泥臭さが欲しいからだ。軽い演奏に感じられてしまうのだ。このあたりがジャズの難しい所だ。

 O.ピーターソン、M.アレキサンダーといったプレーヤーの影響を感じさせる。

 BGM的な演奏でもいいのか、ジャズ・マニアを満足させる演奏を目指すのか、その方向をはっきり示していない。しかし、上手いことは間違いない。

 特にお奨めしたいという作品ではないが、珍しい盤として紹介した。

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 CD盤。2003年録音。Vladimir Shafranov(P),Pekka Sarmanto(B),Jukkis Uotila(DS)
posted by Boo! at 22:00| 埼玉 ☔| Comment(4) | JAZZはいかが? | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする